自身の音楽活動、およびITとの関わりあいについて語るミュージシャンの佐野元春氏
自身の音楽活動、およびITとの関わりあいについて語るミュージシャンの佐野元春氏

 13日に東京・代官山で一般公開が始まった音楽、インターネット、スタートアップ(新興企業)の業界横断イベント「ザ・ビッグ・パレード」でアーティストの佐野元春氏が基調講演した。テーマはアーティスト本人が語る音楽ビジネス。佐野氏は自らとビジネスの関わりを振り返り、自身のライブで18歳以下の来場者を無料にすることに意欲を示した。

 「(まだ未定ですが)来年の僕のライブは18歳以下の人たちを無料にしたいと思っている」。突然の発言を前に観客は戸惑いの表情を浮かべ、そして一瞬の間を置いて大きな拍手が沸いた。

 講演した佐野氏は1956年に生まれ、80年にデビューした。デビューして3年後、26歳のときに米ニューヨークに渡り、音楽の制作活動とともに現地でアーティストのマネジメントやレーベルの成り立ちなどを勉強した。

 帰国後、自分でレーベルを立ち上げる。作曲や作詞といった創作活動から楽曲の権利まで一貫してアーティストが管理する先駆者でもある。新たな試みを続けるミュージシャンとして、存在感を示し続けている。

 佐野氏は既に30周年ツアーの際に18歳以下を無料にしている。再度、意欲を示したのは基調講演の終盤、聴衆の一人のこんな発言を受けてのことだった。

 「子供たちがテレビや(動画共有サイトの)ユーチューブを見たり聞いたりしているが、これがいい音楽と思ってしまう耳は嫌だと思う」

 佐野氏は「子供たちが(テレビのポップスを見て)喜んでいるのはいいこと」とする一方、「音楽が生き方に関わってくる重要なアート表現だと気付く子もいる。求めたとき、目の前にそのような音楽がある社会ができれば一番素敵なこと」と話した。