写真1●左から、富士通研究所 常務取締役の村上亮氏、九州大学 IMIの若山正人氏、富士通 執行役員でイノベーションビジネス本部長の廣野充俊氏
写真1●左から、富士通研究所 常務取締役の村上亮氏、九州大学 IMIの若山正人氏、富士通 執行役員でイノベーションビジネス本部長の廣野充俊氏
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 富士通と富士通研究所、九州大学の3者が「富士通ソーシャル数理共同研究部門」を設置し、数理技術の共同研究を開始した(写真1発表資料)。「これまでのビッグデータ分析に欠けていたのが人間の心理の部分。そこを含めた社会システムのモデル化に挑戦する」(富士通 執行役員 グローバルマーケティング部門 イノベーションビジネス本部長の廣野充俊氏)。

 共同研究部門は、数学の産業応用研究を手掛ける九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所(Institute of Mathematics for Industry。以下、IMI)内に設置する。研究機関は3年間で、IMIから教員3人(専任が1人と協力が2人)、富士通から技術者1人、富士通研究所から研究者2人という体制で研究を進める。人件費はそれぞれが負担し、スーパーコンピュータの利用料金や研究設備などの費用は富士通が負担する。投資額は非公開。

 今回設立した共同研究部門が目指すのは、人の心理も考慮した理論(モデル)を構築し、実績データの分析やシミュレーションを通じて最適な施策を設計することだ(写真2)。例えば検索連動型広告のオークションでは、オークション理論に基づいて「第二価格オークション」を利用している企業がある。また厚生労働省は2004年から研修医と受け入れ病院の組み合わせにおいて、マッチング理論に基づいて「安定マッチング」を利用している。

写真2●「富士通ソーシャル数理共同研究部門」における研究の進め方。人の心理を含めた形で社会システムをモデル化し、社会制度や施策の設計と、その制度や施策の評価を繰り返していく
写真2●「富士通ソーシャル数理共同研究部門」における研究の進め方。人の心理を含めた形で社会システムをモデル化し、社会制度や施策の設計と、その制度や施策の評価を繰り返していく
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