図1 講演する鳳氏
図1 講演する鳳氏
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 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE) PSプロダクト事業部 ハードウェア設計部門 メカ設計部 部長の鳳康宏氏が、ゲーム開発者会議「CEDEC 2014」に登壇した(図1)。同氏は、「PlayStation 2(PS2)」からPS4まで、機構設計や熱設計などを担当してきた人物である。CEDECの参加者にはソフトウエア開発者が多いため、プレイステーションシリーズを例にして、メカ機構や熱設計などについて講演した。その中で、「プレイステーションは新型機が出るとすぐ分解されるが、その中でも触れられていない“メカトリビア”がある」と語った。

図2 ネジの説明(図:SCE、以下同)
図2 ネジの説明(図:SCE、以下同)
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 紹介したトリビアは以下のようなものだ。まず、ネジは、その螺旋部分が2重になっている二条ネジを利用していること(図2)。1重の一条ネジに比べて、ドライバーを1回転する際にネジ穴に入る距離が2倍になる。つまり、ネジ締めに掛かる時間を短縮できる。「わずかな時間だと思われるかもしれないが、大量生産するときには非常に重要になる」と強調した。なお、二条ネジを使用している箇所は、ネジ締めの対象が樹脂のところで、金属に対しては一条ネジを用いるという。

PS2の冷却ファンは逆回転

 次に紹介したのは、PS2の冷却ファンが、一般のファンとは逆回転だということ(図3)。これは、分散配置された2つの熱源を効率よく冷やすために実施したという。PS2では、冷却ファンの吸い込み側の真ん中が基板で区切られている。このとき、基板の上側と下側で空気の流れが変わる(図4)。一般のファンと同じ回転方向の場合、上側では右から左に、下側では左から右へ空気が流れる。ところが、PS2では上側の左側と、下側の右側に熱源があった。そこで、一般のファンとは回転方向を逆にして、上側と下側の熱源が効率よく冷えるようにした(図5)。

図3 PS2の放熱ファンは逆回転
図3 PS2の放熱ファンは逆回転
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図4 上側と下側で風の流れが変わる
図4 上側と下側で風の流れが変わる
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図5 一般のファンとは回転方向を逆にして、上側と下側の熱源が効率よく冷えるようにした
図5 一般のファンとは回転方向を逆にして、上側と下側の熱源が効率よく冷えるようにした
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