米Googleが「忘れられる権利(right to be forgotten)」に関する公開ミーティングを欧州の7都市で実施すると、複数の海外メディア(米Wall Street Journal米Financial Timesなど)が報じた。第1回目をスペインのマドリッドで現地時間2014年9月9日に開催した。

 Googleは5月に、スペインの男性が同社を相手取って起こした裁判で、欧州連合(EU)の欧州司法裁判所(ECJ)から、個人情報を含むコンテンツへのリンクを検索結果から削除する義務があるとする判決を受けた。忘れられる権利を支持する同判決に従い、Googleは削除依頼に基づいた作業を6月末に開始。7月初めに複数の大手ニュースメディアにリンク削除を通知すると、削除の依頼主や理由について一切説明がないことに不満の声が上がった。

 また削除されたリンクの一部がすぐに復活するなどしたためGoogleの対応を疑問視する意見も高まり、これを受けGoogleは社外専門家を含む諮問委員会を設置(関連記事:Google、「忘れられる権利」に基づくリンク削除で諮問委員会を設置)。その際、この問題について議論する公開ミーティングを秋に欧州各地で開催する考えを明らかにしていた。

 同諮問委員会は、世界の大学、メディア、データ保護、市民組織、技術セクターなどからの専門家で構成される。英オックスフォード大学情報倫理および哲学のLuciano Floridi教授、フランス紙「Le Monde」の論説員で元同紙編集長のSylvie Kauffmann氏、スペインの元データ保護当局責任者のJose-Luis Pinar氏、ドイツのSabine Leutheusser-Schnarrenberger連邦法務大臣などのほか、GoogleのEric Schmidt会長、David Drummond法務顧問も参加する。

 公開ミーティングは、今後2カ月にわたって、フランスのパリ、ドイツのベルリン、英国ロンドンなどを巡る。Schmidt会長は、「我々は、情報を知る権利と個人のプライバシー権利の間でバランスを取る必要がある」と述べた。Drummond氏によると、Googleはこれまで、個人による10万件以上の削除依頼を受け取っているという。