写真●「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」
写真●「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」
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 米Appleは現地時間2014年9月9日、スマートフォン「iPhone」の次期モデルを発表した。4.7インチディスプレイの「iPhone 6」と5.5インチディスプレイの「iPhone 6 Plus」を9月19日より一部地域で発売する。新iPhoneでは、近距離無線通信(NFC)ベースの決済機能も提供する。

 4インチの現行モデル「iPhone 5s」より画面を大型化したiPhone 6およびiPhone 6 Plusは、「Retina HD」ディスプレイを搭載する。解像度はそれぞれ1334×750ドット、1920×1080ドット。

 64ビット対応の「A8」プロセッサ、「M8」コプロセッサを内蔵し、OSには次期モバイルプラットフォーム「iOS 8」を採用する。

 「iSight」カメラは高速オートフォーカス「Focus Pixels」機能を備え、iPhone 6 Plusでは光学式手ぶれ補正機能を搭載する。最大60fpsの1080p HDビデオ撮影に対応し、最大240fpsのスローモーション撮影が可能。「FaceTime」カメラは従来より80%明るくなり、自撮り連写などの機能を備える。

 最大150Mbps速度のLTE通信に対応する。Wi-Fi IEEE802.11ac機能を搭載。VoLTEに対応し、Wi-Fiを介した通話も可能。

 また、同時に発表した決済サービス「Apple Pay」を利用できる。Apple Payは、NFCを使用し、専用チップ「Secure Element」、セキュリティ機能「Touch ID」と連係する。支払いに使用するクレジットカードまたはデビットカードは、「iTunes Store」アカウントから登録する。

 Appleはセキュリティやプライバシーを考慮し、「当社はユーザーの購入情報を収集することはない」と強調している。また、ユーザーは店舗側にクレジットカード番号や名前を明かすことなく購入を完了できる。

 Apple Payは、米American Express、米MasterCard、米Visaと提携し、10月から米国でサービスを開始する。iOS 8向け無償アップデートを通じてiPhone 6およびiPhone 6 Plusで利用可能になる。

 iPhone 6およびiPhone 6 Plusは、ゴールド、シルバー、スペースグレイの3色で展開する。米国での希望小売価格(2年契約を結んだ場合)はiPhone 6が199ドルから、iPhone 6 Plusが299ドルから。米国、日本を含む10カ国/地域で9月19日に出荷を開始する。予約注文は9月12日から。

 また従来iOSデバイスへのiOS 8ダウンロードは9月17日から無償で行える。

 今回発表された次世代iPhoneの画面サイズは事前のリーク情報通りではあるが、特にiPhone 6 Plusは各メディアの高い関心を集めている。ハイエンドスマートフォン市場でシェアを確保するには、これまで大型画面モデルの不在はiPhoneのマイナス要素だったからだ。米Wall Street Journalが引用した英Canalysの調査によると、2014年第2四半期における世界スマートフォン出荷でのうち、5インチ以上のサイズが40%近くを占め、1年前の21%から大幅に拡大した。

 英Financial Timesによると、大型画面は特に中国を中心とするアジアで人気が高く、中国でのiPhone普及を狙うAppleにとっては重要な要素だ。米CNETは、「Appleは、小さいスクリーンサイズによって制限されていたiPhoneの将来的機会のサイズ(規模)を劇的に広げるだろう」とのアナリストのコメントを紹介。大画面iPhoneの登場は、モバイル業界に大きな影響を与える可能性があるとしている。

[発表資料(1)]
[発表資料(2)]
[発表資料(3)]