写真1●漏水監視サービスで利用するスイスのガターマン製センサー
写真1●漏水監視サービスで利用するスイスのガターマン製センサー
[画像のクリックで拡大表示]

 NECは2014年9月5日、上水道管の漏水をいち早く発見する「漏水監視サービス」を発売した。水道管に設置した複数のセンサーから得た振動データなどを同社クラウド上で解析し、漏水を検知する(写真1)。現在は熟練の保守員が専用器具を使って漏水音を耳で確認しているが、正確な漏水箇所を迅速に特定するのは難しいのが実態だ。NECは国内外の水事業者などに売り込み、2017年度には水道関連事業で300億円の売り上げを目指す。

 今回、販売を開始した漏水監視サービスでは、振動センサーからデータを無線通信で収集し、NECのクラウドに蓄積・解析する。漏水の有無を常時監視すると共に、漏水が発生した際は約1メートルの範囲で場所を特定できるという。漏水場所を「MAP画面」に表示したり、アラームを出したりすることも可能だ。2013年8月から2014年2月まで、新潟・柏崎で実証実験して、今回実用化した。

 従来の漏水調査では、専門の保守員が漏水音を耳で確認していた。熟練した知識と経験が必要なうえ、広範囲にわたる管路を迅速に調査することは困難で、漏水が数カ月放置されるケースも珍しくない。新サービスでは、漏水発生から1週間以内に検知・対処することが可能になるという。

 NECは2012年に、漏水検知専業メーカーであるスイスのガターマンと協業。今回、同社製のセンサーをマンホール内の消火栓などに内蔵磁石で取り付ける(写真2)。同センサーのバッテリーは、5年間連続で使用できるという。

写真2●センサーは複雑な工事なしで取り付けが可能
写真2●センサーは複雑な工事なしで取り付けが可能
[画像のクリックで拡大表示]

 漏水監視サービスは、センサー50本、ソフトウエア利用料、標準保守などを含め、価格は月額50万円(税別)から。

 NECによると、日本の上水道の漏水率は全国平均で約5.0%と、世界的に優れた水準にあるというが、主要20都市における漏水被害は年間280億円に上るという。海外ではイタリアのトリノが漏水率25.0%、英国ロンドンは26.5%と、日本より大幅に高い水準にある。日本を含め、古くから水道管を設置して老朽化が進んでいる先進国を中心に売り込む。今後3年間で、100団体への販売を目指す。