写真●4省のテレワーク推進担当者によるパネルディスカッション
写真●4省のテレワーク推進担当者によるパネルディスカッション
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 一般社団法人日本テレワーク協会は、9月3日「テレワーク推進フォーラム2014年度産官学連携セミナー」を開催した(写真)。総務省や経済産業省など4省のテレワーク担当者が一堂に会し、ワークスタイル変革を後押しする現行の取り組みと来年度の見通しについて語った。

 政府は2013年に発表した「世界最先端IT国家創造宣言」で、「2020年までにテレワーク導入企業数を2012年度の3倍にし、雇用型在宅型テレワーカー数を10%以上に高める」という数値目標を打ち出している。この目標を達成すべく各省はそれぞれに戦略と施策を打ち出している。

 総務省は厚生労働省と連携したモデル実証や、専門家派遣によって、中小企業や地方都市でも導入可能なテレワークの姿を探る。2015年度は先進的なITを活用した「バーチャルオフィス」などの検証に取り組む。「在宅勤務の社員が疎外感を感じず、あたかもオフィスにいるような臨場感を持って仕事ができるツールの開発などを考えている」(総務省情報流通行政局情報流通振興課の東政幸課長補佐)。

 厚生労働省は「良質なテレワーク」を普及させることを目標に掲げる。「在宅勤務では仕事をいつまでも続けて過重労働になってしまうケースも少なくない。そうした課題の解決を図る」(厚生労働省労働基準局労働条件政策課小島敬二課長補佐)。終日在宅型のテレワークを取り入れるため、ウェブ会議用の通信機器の導入やクラウドサービス利用、就業規則の作成・変更などを実施する中小企業に対し、最大150万円を支給する。

 経済産業省は「(福利厚生ではなく)ビジネスの生産性を上げるためのワークスタイル変革」への発想の転換を提唱。生産性向上を目的に、生産設備やオペレーション改善に役立つ設備を導入した企業を、税制面で優遇する制度の周知を図る。

 またITのアウトソ-シングに加え、BPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)やKPO(高度な分析能力や専門知識を必要とする分析の外部委託)など、ビジネス支援サービスを普及させることもテレワークの円滑な実施に必要とする。「BPOサービスの質の見える化にも取り組んでいく」(経済産業省商務情報政策局サービス政策課の大西啓仁課長補佐)。

 国土交通省では「地域活性化」などを目的に、テレワークの普及を進める方針。「既に都市部で行っているテレワークセンターのモデル実証事業を、地方都市や大都市郊外部にも拡大し、在宅勤務を補完するサテライトオフィスとしての成立可能性を探る」(国土交通省都市局都市政策課都市環境政策室の高松元史課長補佐)とする。