写真1●日本ユニシス 総合技術研究所 インキュベーション室 データ工学ラボの中川靖士研究員
写真1●日本ユニシス 総合技術研究所 インキュベーション室 データ工学ラボの中川靖士研究員
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●スター型ネットワーク(左)とメッシュ型ネットワーク(右)の違い
写真2●スター型ネットワーク(左)とメッシュ型ネットワーク(右)の違い
[画像のクリックで拡大表示]
写真3●NerveNetの基地局
写真3●NerveNetの基地局
[画像のクリックで拡大表示]
写真4●NerveNetの技術情報
写真4●NerveNetの技術情報
[画像のクリックで拡大表示]
写真5●3カ年の研究計画
写真5●3カ年の研究計画
[画像のクリックで拡大表示]

 日本ユニシスは2014年9月3日、情報通信研究機構(NICT)が開発した災害に強いメッシュ型地域ネットワーク「NerveNet」の実用化研究を、NICTから受託したと発表した。3年間で約4億円のプロジェクトで、東北大学、フィンチジャパン、ナシュア・ソリューションズとの共同受託になる。

 現行の携帯電話網は、各地域に設置された交換局を中心に、交換局と基地局とを光ファイバでつなぐスター型ネットワークを構成していることが多い。2011年3月の東日本大震災では、光ファイバの断線や交換局の被害により、多くの基地局が通信不能に陥った。

 NICTが開発するNerveNetは、基地局同士が無線LANなどで自律的にメッシュ型ネットワークを構成できる。メッシュ型ネットは一部が断線しても、他の経路から通信を継続できるため、災害時にも通信を継続しやすいとされる。

 NerveNetとインターネットとの接続が切れても、メッシュネットワーク内で独自に情報などを配信できる。「必ずしもクラウドに頼らなくても、地域ネットワーク内で地元の災害情報などを配信できる」(同社 総合技術研究所 インキュベーション室 データ工学ラボの中川靖士研究員)。NerveNetは、既に東北大学や宮城県女川町の海岸で試験導入されている。

 メッシュ型ネットワークの課題は、同帯域のスター型ネットワークと比べて一般に敷設コストが高くつく点と、平時にもインフラとして活用できるアプリケーションが乏しい点だ。これまでもメッシュ型ネットを災害時の通信インフラに生かすアイデアはあったが、平時に運用するにはコスト負担が大きく、実用化に至らなかった。

 同プロジェクトでは、NerveNetの特徴を平時でも生かせるアプリケーションを開発するなどして、最終年度である2016年度までに自治体や企業にNerveNetを採用してもらうことを最終目標にしている。地域の広告配信、機器やインフラの自動検知、監視カメラ、海外観光客向け公衆無線LAN、地域防災ネットワークなどへの応用を想定しているという。