情報処理推進機構(IPA)は2014年9月2日、バングラデシュが「情報処理技術者試験」の制度導入を9月1日に正式決定したことを発表した。アジアにおける導入国は、これで7カ国目。日本にとっては、アジアのIT人材を共通の尺度で評価、採用できるメリットがある。

写真1●ITPECへの加盟式典
写真1●ITPECへの加盟式典
[画像のクリックで拡大表示]

 バングラデシュが「ITPEC」への正式加盟を決めた(写真1)。ITPECは、日本の情報処理技術者試験を基にした「アジア共通統一試験」の協議会だ。フィリピン、タイ、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、モンゴルが参画している。

 アジア共通統一試験は、日本の情報処理技術者試験を基にしており、基本情報技術者試験およびITパスポート試験相当のものを1年に2度、応用情報技術者試験相当のものを1年に1度、開催している。2013年度の応募者数は6757人。2006年からの累計では、4万5000人近くに上る。

 バングラデシュにおいては、2013年10月と2014年4月にトライアル試験を実施。それぞれ332人、1035人が応募した。2014年10月には、本格実施を予定する。「2014年4月の試験よりも開催都市を増やす」(IPA)ため、さらに多くの受験者が集まる見込みだという。まずは、基本情報技術者試験相当のテストに絞って開催する。

写真2●日本とバングラデシュによる相互認証協定締結の模様
写真2●日本とバングラデシュによる相互認証協定締結の模様
[画像のクリックで拡大表示]

 バングラデシュでの試験実施を担うバングラデシュコンピュータ評議会とIPAは、両国の試験が同等であることを相互認証する協定も締結した(写真2)。バングラデシュが日本と共通の試験制度を採用することで、日本企業はバングラデシュの優秀な人材を確保しやすくなる。

 人口1億5000万人超のバングラデシュのIT人材は、数学的思考に強い技術者が多いという(関連記事:バングラデシュのIT人材「数学的思考に強い」)。同国は現在、「デジタル・バングラデシュ」を掲げ、国を挙げたIT振興策を打っている(関連記事:「デジタル・バングラ」IT立国への道)。