欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は米Facebookによる米WhatsApp買収に関して、両社の競合社と顧客に対して、詳細なアンケート調査票を送付した。同調査票を確認した米Wall Street Journal英Reutersが現地時間2014年9月1日に報じた。

 調査票の目的は、ECがソーシャルネットワークとメッセージングアプリケーションの線引きを理解し、競争の現状を把握するためとWall Street Journalは見ている。

 約70ページに及ぶ調査票には、同買収計画がSNSとメッセージングアプリケーションのユーザーおよび消費者にどのような影響を与えると思うか、といった質問が盛り込まれている。また、「モバイルメッセージングサービスは、従来の音声通話、テキストメッセージング、電子メールに置き換わるものとなるか」「Facebookを利用している広告主は、広告料引き上げの際に他の広告サービスに移行できるか」などの質問が並んでいるという。

 調査票の送付先には、電気通信事業者、SNSサイト、インターネットサービスプロバイダーなどが含まれる。提出期限は9月8日。ECは同買収計画に対する最終判断を、10月3日に下す予定。

 Facebookは今年2月に、WhatsAppを買収することで両社が合意したことを発表した(関連記事:Facebook、メッセージングアプリ「WhatsApp」を約160億ドルで買収へ)。買収後もWhatsAppは独立した事業を継続し、プライバシー原則を変えないことを両社とも強調している。しかしWhatsAppが方針を変えてユーザー情報をFacebookに渡す可能性があることを懸念したプライバシー擁護団体などが、3月に米連邦取引委員会(FTC)に調査を要求。FTCは4月に、プライバシー保護の義務について両社に忠告した上で、同買収を承認した(関連記事:FacebookのWhatsApp買収計画、FTCが釘を刺しつつ承認)。

 Facebookは8月29日に買収計画をECに正式通知したが、それより前の5月に自ら同計画の審査をECに要請していた。この行動は、各EU加盟国でそれぞれ独占禁止関連の調査を受ける可能性を回避するためと見られる。ECは7月に、8ページ程度の調査票を複数の技術系企業に送っている。