2014年8月、話題の「ウエアラブルデバイス」に関するハッカソン/アイデアソンが、石川県金沢市、福井県鯖江市、北海道札幌市の3都市で開催された。いずれも9月1日が締め切りのアプリ開発コンテスト「Android Application Award(A3=エーキューブ)2014」の関連イベントして催されたもので、共通する開発(創案)テーマは「ライフスタイルを変えるウエアラブル」である。利用するデバイスは、A3に特別協賛するソニーモバイルコミュニケーションズの腕時計型端末「SmartWatch2」、腕に巻くタイプの端末「SmartBand」などである。

「育毛」「妄想」――ユニークな発想が相次いだ金沢ハッカソン

 金沢では、8月2日と3日の2日間にわたり、ハッカソンが行われた(写真1、2)。1日目は、全員がアイデアを創案するところから始まった。新しいサービスを、「どんな理由で」「どんなデバイスで」「どうやって」という規定フォーマットに従って書き出していく。これらのサービスは、ネット上のドキュメント管理ツールで共有され、関心の高いサービスごとに実装チームが編成された。オンラインツールを活用することで、全員がアイデアを出し、即時に共有、相互に評価できることが特徴だ。

写真1●金沢で行われた「Xperia Wearable Hackathon Kanazawa」
写真1●金沢で行われた「Xperia Wearable Hackathon Kanazawa」
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 編成後の各チームが開発したのは、以下の4サービスである。

・ウエアラブル育毛:毛髪ブラシにウエアラブルデバイス(SmartBand中の“コア”)をつけて、頭皮の気になるところを叩いて刺激すると、その回数に応じてWeb画面が変化する。一定の回数で目標達成となる。

・リズム隊:ミュージシャンがステージに上ったときに、観客と一体化できるサービス。ミュージシャンと観客はいずれもSmartWatchを装着。SmartWatchは楽曲に合わせて振動するため、一体感が得られるという仕組みだ。このほか、ライブ会場などでの一斉情報配信などの機能や、楽曲に合わせたSmartWatch画面の点滅機能も持たせるようにする。

・打破:SmartWatchを手にはめておき、煮詰まった会議室などで「やばい、助けて」あるいは「わー」といった音声を出し、場を和ませる効果などを狙った。

・妄想:ユーザーが何らかの妄想したことを、周囲の人に知らせるサービス。例えば、 驚いたことがあったら「!」を送信。周囲の人が、メッセージ送信に気づき、驚きの体験を共有している。

写真2●会場は、金沢市のインキュベーション組織GEUDAが入居するビル
写真2●会場は、金沢市のインキュベーション組織GEUDAが入居するビル
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 各チームの発表後には、進行役を務めたトーンコネクトの加畑健志氏、メンターとして参加した山下計画の山下哲也氏らから、追加機能や応用分野に関するアドバイスやコメントが出された。例えば、ウエアラブル育毛については「ブラシを叩く強さも可視化できるといい」、リズム隊については「2020年の東京オリンピックのオープニングセレモニーなどに応用できそう」といった具合だ。

 金沢ハッカソンでは、Web画面を簡単に作成できるツールを採用し、あたかも実在するかのようなサービス画面を作成、発表時の説明資料として活用した。プログラマー以外の参加者は、この画面の作成に注力する。