富士通は2014年8月27日、VMware仮想マシン環境に特化したストレージ装置「ETERNUS TR series」(写真)を発表、同日販売を開始した。9月26日から出荷する。米Tintriの「Tintri VMstore T600シリーズ」のOEM(相手先ブランドによる生産)に当たる。最小構成時の価格(税別)は、初年度サポート込みで1621万1000円から。

写真●ETERNUS TR seriesの外観
写真●ETERNUS TR seriesの外観

 ETERNUS TR series(Tintri VMstore T600シリーズのOEM)は、サーバー仮想化環境(VMware環境)に特化したプライマリー共有ストレージである(関連記事:ティントリ、サーバー仮想化環境に特化したストレージのラインアップを拡充)。VMware環境からNFSでアクセスするNAS(ファイル共有サーバー)であり、ファイルとしてVMwareの仮想ハードディスク(VMDK)を格納する。これにより、VMware環境のプライマリーストレージとして動作する。

 最大の特徴は、単なる汎用のNASではなく、VMwareの仮想ハードディスクイメージの格納に特化していること。具体的には、アライメントを自動調整する機能を備える。仮想サーバーのファイルシステム上のデータブロック書き込みと、実際のストレージ上のデータブロック書き込みのずれを、運用中に自動的に修正する。これにより、自動調整しない場合と比べてストレージI/O性能が向上する。

 さらに、SSD(Solid State Drive)の採用によって高速化を図っている。ファイルのメタデータをSSD上に置くほか、SSDとHDD(ハードディスク)を混在させた構成で動的なILM(階層型ストレージ管理)を実現している。さらに、データを書き込むタイミングで重複を排除するインライン型の重複排除機能を組み合わせている。

 管理GUI画面(Webブラウザー)からは、仮想サーバーごとにストレージ要件などを設定できる。個々のストレージ領域ごとに、領域を利用する仮想サーバー名、仮想ディスク名(SCSI 0:2など)、IOPS(1秒あたりのストレージI/O数)、ストレージ容量などを設定する。この領域ごとに、総IOPSを超えない範囲で自由にQoS(ストレージ性能)を割り当てられる。

富士通独自の品質試験と日本語ドキュメントを提供

 富士通は今回、米Tintri(日本法人はティントリジャパン)とOEM契約を交わし、現行シリーズであるTintri VMstore T600シリーズ2製品「Tintri VMstore T650」および「Tintri VMstore T620」について、富士通ブランドでの販売を開始した。製品名はそれぞれ、「ETERNUS TR650」および「ETERNUS TR620」となる。

 富士通がOEM提供することの付加価値は、大きく三つある。一つめは、富士通のサポートを受けられること。二つめは、富士通独自の品質テストによって故障率を下げていること。三つめは、オリジナルの製品には付属しない日本語で書かれたドキュメントを独自に作成して添付することである。

 二つのモデルの概要は、以下の通り。(1)TR620は、500台の仮想サーバーを格納できるエントリーモデルで、実効容量は13.5Tバイト。(2)TR650は、1500台の仮想サーバーを格納できるハイエンドモデルで、実効容量は33.5Tバイト。大きさはいずれも4Uラックマウント大。