写真1●米ヴイエムウェアのベン・ファーティCTO
写真1●米ヴイエムウェアのベン・ファーティCTO
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写真2●パートナーの1社、ネットワンシステムズが提供予定の「VMware EVO:RAIL」
写真2●パートナーの1社、ネットワンシステムズが提供予定の「VMware EVO:RAIL」
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 「電源を入れて15分で、仮想化環境の導入が完了し、仮想マシンが立ち上がってくる」。2014年8月25日に開幕した「VMworld 2014」は2日目を迎えた(関連記事1関連記事2)。基調講演に登壇した米ヴイエムウェアのベン・ファーティCTOは、同社のアプライアンス製品「VMware EVO:RAIL」のメリット、手軽さをデモを交えて説明した(写真1)。

 今回ヴイエムウェアが発表した「EVOファミリー」は、同社の仮想化製品をパートナーが用意するサーバーに導入して提供するモデル。ヴイエムウェアがスペックを策定することが大きな特徴だ。

 第1弾となるVMware EVO:RAILは、同社のサーバー仮想化製品「VMware vSphere」、仮想ストレージ「VMware Virtual SAN(VSAN)」、管理ツール「vCenter Server」を搭載。「EVO:RAILエンジン」が提供するGUIを通じて、リソースの割り振りや管理を行う。これらソフトを、4ノードを搭載する2Uのラックマウント型サーバーに収め、パートナーがサポート込みで提供する(写真2)。

 「各ノードは、コンピュート(サーバー)とネットワーク、ストレージの各機能を持つ」(ファーティCTO)。ノードごとにデュアルプロセッサと192GBのメモリーを備え、1台のサーバー(4ノード)で、「サーバー用途のVM(仮想マシン)」なら100台、「仮想デスクトップ用途のVM」なら250台を動かせるように見積もってある。

 見積もりの根拠となる、サーバー用途のVMのスペックは、vCPU(仮想CPU)が2個、vMEM(仮想メモリー)が4GB、vDISK(仮想ディスク)が60GBで、冗長構成が組まれている。仮想デスクトップ用途のVMは、仮想デスクトップソフトのリンクトクローン機能を使う条件で、vCPUが2個、vMEMが2GB、vDISKが32GBである。

 EVO:RAILでは、「ダウンタイムなしにパッチが適用できる」(ファーティCTO)。あるノードにパッチを適用する際は、事前に他のノードに仮想マシンを移動しておくことで実現する。また、4台までのスケールアウト機能を備えるので、「ノードを自動検出し、最大16ノード構成まで自動で拡張できる」(ファーティCTO)。

 データセンター事業者など、EVO:RAILより大規模な環境をターゲットとした「VMware EVO:RAC」も、テクノロジープレビューが公開された。ネットワーク管理には、同社のネットワーク仮想化製品「VMware NSX」を使うと見られる。「ライフサイクル管理などの仕組みも入れる計画」(ファーティCTO)という。

 EVOファミリーは、同社が標榜する「ソフトウエア・デファインド・データセンター(SDDC)」の実現に必要なソフトを詰め込んだ“SDDCアプライアンス”である。パートナーを通じてどれだけ広められるか、同社の戦略推進に与える影響は大きい。