中国で開発されている同国独自のOSがまもなく登場するようだと複数の海外メディア(英Reuters米PC Magazine米Windows IT Proなど)が現地時間2014年8月24日に、新華社通信の報道を引用して伝えた。

 それによると、パソコン向けのOSの最初のバージョンは10月にもリリースされる見通し。同国では今年3月にOS開発プロジェクトが立ち上がり、中国工程院のGuangnan Ni氏が同プロジェクトを率いている。このOSはまず、パソコン向けが用意され、その後スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末にも提供されるという。

 Ni氏は、中国工業情報省(Ministry of Industry Information Technology)が発行する業界紙、人民郵便電信新聞にコメントを出している。それによると同氏は、既存のパソコンOSを今後1~2年で中国のOSに置き換え、3~5年でモバイルOSも置き換えたいと述べている。

 Windows IT Proによると、中国におけるOS開発は商業的な目的というよりは、国策に基づいている。中国では、米国家安全保障局(NSA)の元契約職員Edward Snowden氏が、米当局の情報収集活動を暴露して以来、外国のテクノロジー製品に対するセキュリティの懸念が取り沙汰されている。そうした中、米当局は今年5月、中国人民解放軍の将校をサイバー攻撃の容疑で起訴した。これを受け、中国政府は同国の国家安全を守るためとし、外国企業のIT製品やサービスに対する検査を強化すると発表。また同国の中央政府調達センター(採購中心)が、Windows 8を搭載するコンピュータを中央省庁が購入することを禁じたり、国営テレビが番組でWindows 8を取り上げ、セキュリティに問題があると非難したりした。

 今年7月には、中国国家工商行政管理総局(SAIC)が独禁法に関連するMicrosoftの商慣行について調査を開始、同社の中国オフィスを立ち入り検査した(関連記事:中国の独占禁止当局、Microsoftに調査妨害しないよう忠告)。