米Amazon.comが、中国の上海自由貿易区で事業を始める計画だと、米Wall Street Journal英Reutersが現地時間2014年8月20日に報じた。

 Amazon.comはすでに当局との契約に署名している。上海自由貿易区の比較的緩い規制を生かして、同社のグローバルなサプライチェーンを通じ、中国の消費者に外国製品を提供していくという。また上海市当局はこれとは別の声明で、Amazon.comが中国に物流施設を開設し、中国製品の輸出拡大に協力すると述べている。

 Amazon.comの主な狙いは同国事業における商品種の拡充と見られている。ただし、上海自由貿易区の新たな事業が、同社の決済システムやネット販売にどのような影響を及ぼすかについては今のところ不明。同社の広報担当者も詳細について言及を避けているという。

 Amazon.comが中国に進出したのは2004年(関連記事:米Amazon.com,中国最大のネット販売企業を買収し中国市場へ進出)。その後は2011年に自社ブランドで電子商取引事業を開始。2012年には電子書籍ストアを開設し、クラウドコンピューティング事業も始めた。Wall Street Journalによると、ここ最近は、食料品オンライン販売の中国Yummy77(美味七七)に2000万ドルを出資しており、取り扱い商品の拡充を図っている。

 Reutersによると、中国ではAlibaba Group(阿里巴巴)やJD.com(京東商城)といった大手が電子商取引市場を支配している。Amazon.comは同国における事業維持だけでなく、プレゼンスの強化も狙っていると、Reutersは伝えている(関連記事:中国EC大手JD.comが米国で上場、約17.8億ドル調達)。