日本IBMは2014年8月19日、同社としては初めてUSBポートを搭載したLTOテープ装置の新製品「TS2260」(LTO 6)およびTS2250」(LTO 5)を発表した(写真1)。8月15日から出荷を開始している。価格(税別)は、LTO 6テープドライブを搭載したTS2260が88万7100円。
TS2260とTS2250は、シングルドライブ構成のテープ装置である。同社製のテープドライブ1基と、パソコンやサーバーを接続するための外部インタフェース(SAS/USBポート)を備える。テープは手動で出し入れして使う。テープおよびドライブの規格に応じて、LTO 6用のTS2260と、LTO 5用のTS2250を用意した。
今回の製品は、日本IBMにとって初めての、USBポートを備えたテープ装置となる。他のベンダーからは、すでにUSBポート接続型のテープ装置は出荷されている。そうした製品にはIBM製ドライブを採用しているものもある。今回、「パソコンにつないで簡単にデータをやり取りしたい」という市場の需要に合わせ、日本IBMもUSBポート搭載製品を用意した。
インタフェースカード部分には、USB 3.0ポートとSAS 6Gビット/秒のポートの両方が備わっている。購入後にこれらを使い分けることはできず、どちらか片方のポートだけを利用できる。製品の発注時に、いずれかのポートを利用可能にして出荷する。
なお、同社では、テープに対してファイルシステムとしてアクセスできるようにするソフトウエア「LTFS」(Linear Tape File System)を用意している。LTFSのシングルドライブ版は無償で利用可能であり、USB接続型テープ装置と組み合わせて使うことを提案している。LTFSは、Windows、Linux、Mac OS Xの主要OSで利用できる。
「テープ技術には大きな伸びしろがある」とテープ技術の優位性を説明するのは、日本IBMでストレージの開発に携わる佐々木昭光氏である(写真2)。情報1ビット当たりの面積がフラッシュやハードディスクと比べて余裕があり大容量化の余地が大きく、さらに、テープの構造上、トラック(チャネル)数を増やせば高速化できるという(現状のLTO 6は16トラック)。