韓国Samsung Electronicsが、インドネシアで携帯電話の工場を建設する計画を立てていると複数の海外メディア(Wall Street JournalThe Korea TimesReuters)が現地時間2014年8月18日に報じた。

 それによるとSamsungは、インドネシア国内市場向けの携帯電話を現地で生産したい考え。同社には韓国のほか、中国、ベトナムに大規模工場があり、多くの製品をそれらの拠点で製造し、輸出している。Wall Street Journalによると同社はインドネシア、ジャカルタ郊外にも電子機器の製造工場を持っており、今後は同国市場向けの携帯電話をその施設で製造する予定という。当初は月産10万台程度だが、その後生産能力を徐々に増やし、月産90万台にまで拡大する計画だとReutersは伝えている。

 インドネシアは人口2億4700万人のうち、30歳未満の若年層が半分を占めている。その多くはまだ必要最小限の機能を備える携帯電話を利用しており、高性能スマートフォンの普及率は低い。Samsungのような大手スマートフォンメーカーにとって同国は重要な市場だとWall Street Journalは伝えている。

 同紙が引用した香港Counterpoint Technology Market Researchの市場調査によると、インドネシアのスマートフォン市場におけるSamsungのシェアは今年6月に22%となり、1年前の30%から低下した。米Appleのシェアも6%へと低下しており、同国ではLenovo Group(聯想集団)などの中国メーカーやAdvan Digitalなどの地元メーカーとの間で競争が激化している。

 昨年のインドネシアにおける携帯電話の輸入金額は28億ドルに上り、原油・石油製品に次ぐ規模だった。そうした中、同国政府は国内生産を促進するため、価格が500万ルピア(430ドル)以上の外国製スマートフォンに対し20%の関税をかけることを検討している。今回のSamsungの動きは、こうした販売相手国の税制事情が背景にあるようだとWall Street Journalなどは伝えている。