高級腕時計などに使われる合成サファイア(サファイアガラス)を採用したiPhoneの生産がまもなく始まると、複数の海外メディアが米Wall Street Journalの記事を引用して現地時間2014年8月14日までに伝えた。

 同紙によると米Appleは、iPhoneの新モデルとスマートウォッチのディスプレイに合成サファイアを採用する。同社は昨年11月に米GT Advanced Technologiesと共同で米アリゾナ州メサに合成サファイアの工場を開設した。この工場はフル稼働した場合、世界のおよそ100社の合成サファイア工場を合わせた生産量の2倍を生産できるという(関連記事:Appleがアリゾナ州に工場を新設へ、サファイア部品を製造)。

 Appleが今秋発売するiPhoneの新モデルには、4.7インチと5.5インチの2モデルが用意されると見られている。Wall Street JournalによるとAppleはこのうち5.5インチモデルに合成サファイアディスプレイを採用する。同モデル用のディスプレイは8月中にも量産が始まる見通しだと同紙は伝えている(関連記事:Apple、「iPhone 6」発表イベントを9月9日に開催か)。

 Appleは現行のiPhoneに米Corningの高強度ガラス「Gorilla Glass」を採用している。現行iPhoneは、Gorilla Glassよりも強度が高いとされる合成サファイアをカメラレンズや指紋認証センサー表面に用いているが、Appleはこれをディスプレイに採用し、より割れにくく、傷つきにくいiPhoneを市場投入しようと考えているという。

 ただし、合成サファイアはコスト高になるほか、量産が難しいという問題がある。もし生産が滞れば需要がピークに達する時期にサプライチェーンに部品不足が生じる恐れもあるとWall Street Journalは伝えている。