写真●「第二回スマートフォン企業利用実態調査」 JSSECのWebサイト上で公開されている(PDFファイル)
写真●「第二回スマートフォン企業利用実態調査」 JSSECのWebサイト上で公開されている(PDFファイル)
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 日本スマートフォンセキュリティ協会(JSSEC)は2014年8月12日、企業ユーザーのスマートフォン利用状況についてアンケート形式で調べた「第二回スマートフォン企業利用実態調査」の結果を報告書としてまとめ、Webページ上で公開した(写真)。

 調査結果からは、多くの企業が業務メールのやり取りやスケジュール管理などを効率化する目的でBYOD(Bring Your Own Device)による私物端末の持ち込み利用を認め始めている半面、BYOD導入によって懸念される情報漏洩への対策が追いついていない実情などが明らかになった。

 アンケートでは、全員に共通する質問の他に、企業の情報システム管理者を対象とした質問(25問)と情報システムを利用する側の一般社員を対象とした質問(17問)をそれぞれ用意。立場の違いによる傾向がつかみやすいように工夫している。

スマートフォン導入企業と未導入企業に「温度差」

図1●企業がスマートフォンを導入しなかった理由について尋ねた質問 「セキュリティ・情報漏洩の問題」は0パーセントだった。ただし、回答数が少ない(n=16)点に留意
図1●企業がスマートフォンを導入しなかった理由について尋ねた質問 「セキュリティ・情報漏洩の問題」は0パーセントだった。ただし、回答数が少ない(n=16)点に留意
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 アンケート結果のうち、特に注目に値する質問項目をいくつか取り上げて紹介する。まずは、管理者を対象とした「スマートフォンを導入しなかった理由」を尋ねた質問である。この質問に対する回答(n=16)は、「通信コスト」が50.0パーセント、「現状の携帯電話で十分であるため」が37.5パーセント、「社員のリテラシーが不十分であるため」が12.5パーセントと続くのに対して、「セキュリティ・情報漏洩の問題」は「0パーセント」だった(図1)。

 少なくとも、スマートフォンを導入しないという企業の意思決定に関しては、情報漏洩などセキュリティに関する懸念は主だった理由になっていないという意外な結果となった。後述するように、スマートフォンを導入済みの企業では、セキュリティについて様々な課題を認識しているケースが多い。導入した企業としなかった企業の間に相当な“温度差”が感じられて興味深い。