図●BMP技術の検証環境 発表資料中で紹介されている「BIGLOBEエンジニアブログ」の検証チームによる記事から引用した
図●BMP技術の検証環境 発表資料中で紹介されている「BIGLOBEエンジニアブログ」の検証チームによる記事から引用した
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 グリーとビッグローブは2014年8月11日、両社が提供するモバイル向けゲームサービスや高速モバイル通信サービスの品質向上を目的として、共同で技術検証を実施したと発表した。検証作業を担当したのは、両社の20代の若手エンジニアを中心としたチーム。

 検証した技術は、「BGP Monitoring Protocol(BMP)」と呼ぶBGP(Border Gateway Protocol)による経路制御(ルーティング)をモニタリングするためのプロトコル。BGPはインターネット上で組織(自律システム、AS)同士をつなぐ際の経路制御を行うために使われているプロトコルである。

 BGPは、インターネットの中核プロトコルとして古くから使われてきた。BGPの仕様が最初にRFC(Request For Comments)として公開されたのは1989年(RFC1105)のこと。現在のバージョンである「BGP-4」が登場したのが1994年(RFC1654)である(BGP-4の仕様はその後RFC1771、RFC4271と二度改訂されている)。

 これに対してBMPは、2012年10月にインターネットドラフト(Internet-Draft)として仕様が提出されたばかりの新しいプロトコル。まだRFCにもなっていないが、このBMP技術を使うことにより「ネットワーク接続状態の詳細をリアルタイムに把握でき、ネットワーク管理の高度化が可能になる」(両社)として今回、技術検証を実施することにしたという。

 検証チームによれば、検証に当たってはシスコシステムズの協力を得て同社の検証ラボを借り、同ラボとビッグローブの間を複数の装置(BGP対応ルーターおよびBMPサーバー)で接続。グリーとビッグローブの間のBGP構成を再現した検証用ネットワークを構築したとする()。このネットワーク上で、BMP技術を使った各種検証作業を実施した。

 検証の結果、「BMPを使うことで、2社間のネットワークに異常が発生した場合、故障原因を速やかに特定し早期に復旧させることができた」(両社)という。ネットワーク異常を早期に復旧できれば、例えばネットワーク対応ゲームの場合なら「操作が重い」「タイミングが合わない」といったトラブル発生の回避につながると両社では見ている。

 グリーとビッグローブでは、今回の検証結果を基に「BMP技術の標準化や実装に不足している部分や、今後開発されるソフトウエアに必要な技術要件などを広く開示する」といい、「標準化活動や関連ソフトウエアの開発に貢献していく」意向だという。