日本IBMは2014年8月8日、災害時にクラウド上の仮想サーバーを使って事業を継続できるようにするサービス「IBM BCRS Cloud Virtualized Server Recovery」(VSR)を強化し、これまでのx86サーバー(Windows/Linux)に加えて新たにAIXサーバーを復旧できるようにした。9月末からサービスを開始する。また、AIX対応に合わせて価格体系も変更し、用意する仮想サーバー資源をCPUやメモリーごとに細かく設定できるようにした。

図●IBM BCRS Cloud Virtualized Server Recoveryの概要(出典:日本IBM)
図●IBM BCRS Cloud Virtualized Server Recoveryの概要(出典:日本IBM)

 VSRは、災害が起こってユーザーの情報システムが停止した際に、日本IBMのデータセンター上に用意した仮想サーバーで事業を継続できるようにするサービスである()。あらかじめ平時に専用のエージェントソフトを使ってストレージデータをクラウド側に複製しておき、障害発生時に複製済みのデータを使って仮想サーバーを立ち上げる。これらの一連の手続き(データ複製、切り替え、切り戻し、切替テストなど)をサービスとして提供する。

 仮想サーバーを立ち上げるタイミングに応じて、「シルバー」と「ゴールド」の二つのサービスメニューを用意している。シルバーは、災害が起こってから仮想サーバーの資源を割り当てて立ち上げる。一方のゴールドは、災害が起こる前からあらかじめ仮想サーバーに資源を割り当てて立ち上げておく。OSの起動完了までに要する時間は、シルバーが12時間以内、ゴールドが1時間以内である。

AIXの用途に合わせてCPU/メモリーを個別に追加可能に

 日本IBMは、2012年9月から、x86サーバー(Windows/Linux)を対象にVSRサービスを提供してきた。今回、バックアップ対象のサーバーの種類を拡大し、同社のUNIXであるAIXを搭載したサーバー(CPUはPOWER)の障害時復旧を可能にした。x86サーバー同様に、同社のクラウド上に仮想サーバー環境を用意してAIXサーバーを立ち上げる。

 AIXサーバーへの対応に合わせて、価格体系も変更した。AIXサーバーは一般に、高いCPU処理能力を必要とする業務や、大量のメモリーを必要とする業務など、さまざまな用途に使われる。このため、基本構成をベースとしつつ、CPU能力だけを追加したり、メモリーだけを追加したりできるようにした。これに対して従来は、CPU能力やメモリー容量などを固定化した複数のパターンから選択するしかなかった。

 価格(税別)は、x86サーバー(Windowsの場合)が月額2万7000円から、AIXサーバーが月額4万8000円から。