米Appleと韓国Samsung Electronicsは、両社間で争われている特許訴訟について、米国外でのすべての訴えを取り下げることで合意した。両社が現地時間2014年8月6日に共同声明で明らかにしたと、複数の海外メディア(米Wall Street Journal米New York Times英Financial Timesなど)が報じている。

 これにより、両社はオーストラリア、日本、韓国、ドイツ、オランダ、英国、フランス、イタリアで起こしている訴えを取り下げる。共同声明によれば、この合意にはライセンス契約は含まれていない。また、米国での既存の訴訟は継続する。

 両社の係争は、Appleが2011年に、「iPhone」「iPad」関連の特許および登録商標を侵害されたとしてSamsungを提訴したことに端を発している。Samsungも、Appleが複数の自社特許を侵害しているとして反訴。両社の争いは多数の特許を対象に世界に広がった。

 Samsungは2012年に、米カリフォルニア州サンノゼの連邦地方裁判所で、約10億5000万ドル(のちの見直しで約9億3000万ドルに減額)の損害賠償支払いを命じられ、今年5月には約1億1900万ドルの損害賠償支払いの判決を受けている。Appleは賠償金の支払いだけでは不十分だとして一部Samsung製品の販売差止を求めたがこれは棄却された(関連記事:AppleによるSamsung製スマホの販売差止要求、地裁が棄却)。

 米Bloombergは、今回の合意について、「両社は世界で訴訟を繰り広げてきたが、これまでの結果から、争いを続ける価値はないと認識した」とする米ビラノバ大学Michael Risch教授の見解を伝えている。これまでも両社が特許関連の訴訟を縮小しようとする兆しはあり、例えば今年6月には、米国際貿易委員会(ITC)が下したSamsungの旧型製品に対する差し止めの判決について、両社とも上訴しないことで合意した。

 また、Appleは5月に、米Google傘下のMotorola Mobilityとの間で争われていたモバイル関連の特許侵害訴訟で和解に合意している(関連記事:AppleとGoogle傘下のMotorola、モバイル特許訴訟で和解)。