ドイツDeutsche Telekomの米国子会社T-MobileはフランスIliadの買収提案を拒否する見通しだと、複数の海外メディアが報じた。英Financial Timesによると、T-MobileはIliadの提示額が低すぎるとして現地時間2014年8月6日にもIliadの申し出を正式に断るつもりという。

 Iliadは7月31日に、T-Mobileの56.7%の株式を1株当たり33.0ドル(総額約150億ドル)で買収する提案をT-Mobile取締役会に伝えたことを明らかにした(関連記事:T-Mobileに仏通信事業者が買収提案、ソフトバンク傘下Sprintに対抗)。しかし、T-Mobileはソフトバンク傘下の米Sprintによる買収案に大筋合意したと6月に報じられている。Sprintの買収条件では、同社はT-Mobileの株式1株につき約40ドル(総額約320億ドル)を支払う(関連記事:ソフトバンクのSprintが320億ドルでT-Mobile買収、大筋合意との報道)。

 米Wall Street Journalが得た情報では、Iliadが買収額を引き上げない限り、T-Mobileは同社の提案を検討する気はない。関係者の1人は、Iliadの提案を「dead on arrival(すでに終わっている)」と表現し、「提示額が低すぎ、意義ある話し合いにはならない」と述べている。一方で、Iliadが内部で次の動きについて議論しているとの噂もある。

 Iliadは買収案の引き上げに向けてパートナーを探しており、衛星およびケーブルTV事業者の米Dish Networks、米Cox Communications、米Charter Communicationsや、カナダのオンタリオ州教職員年金基金(OTPP)、シンガポール政府投資公社といった政府系投資ファンドなどと協議しているという(英Reuters米Bloombergの報道)。