警察庁は2014年8月5日、有識者検討会が取りまとめた「ストーカー行為等の規制等の在り方に関する報告書」を発表した。近年ストーカー行為の件数が増大し、殺人などにつながる重大事案が発生していることを踏まえて、法改正を含む具体策を検討する狙いがある。報告書では、現在規制対象外であるLINEやFacebookなどのSNSを利用したストーカー行為を規制対象に含めることを提言している。

 現行の「ストーカー行為等の規制等に関する法律」では、通信手段を使ったストーカー行為について「拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールを送信すること」と定義している。規制対象となる行為を電話・ファクシミリ・電子メールに限定しており、条文上はそれ以外のLINEやFacebookなどの通信手段を使って相手に不安を与える行為は規制されない。

 報告書は東京都三鷹市で発生した「女子高校生被害殺人事件」などストーカー行為に関わる重大事案が発生していることなどを指摘。「インターネットを通じて知り合った者によって、あるいはインターネット上においてストーカー行為が行われる事案や、若者を対象としたストーカー事案が増加している」としている。その上で、SNSを電子メールと同等に位置付けて、SNSを使ったストーカー行為を対象に含めることを提言している。

 ただし、ホームページや電子掲示板などへの書き込みも規制対象とするべきかどうかについては、「規制の対象が広くなりすぎるとの懸念もあることから、規制については、表現の自由とのバランスを踏まえた検討が必要である」としている。

警察庁の発表資料(PDF)