写真1●2014年4~6月期連結決算を説明する日本通信の三田聖二社長。
写真1●2014年4~6月期連結決算を説明する日本通信の三田聖二社長。
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写真2●2014年4~6月期に実施した先行投資。
写真2●2014年4~6月期に実施した先行投資。
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写真3●事業ごとの売上高の分布ならびに推移。
写真3●事業ごとの売上高の分布ならびに推移。
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 日本通信は2014年7月31日、2014年4~6月期連結決算を発表した。売上高は前年同期比24.5%増の13億300万円、営業利益は同65.3%減の2800万円、と増収減益だった。携帯電話大手に比べて割安にモバイル通信を利用できる「格安SIM」は順調だが、先行投資がかさんで大幅な減益となった。

 8月1日の決算説明会に登壇した三田聖二社長(写真1)は、「メジャー級のサプライズ(大幅な減益)でご迷惑をおかけしたのであれば申し訳ない」としつつも、「短期の数値を追求すれば、必要な投資がおろそかになる。もう少し長い目で見てほしい。今期は頑丈な結果に着地させる」と自信を見せた。

 同社によると、大幅な減益要因となった先行投資は、(1)格安スマホで約6500万円、(2)「クルーシステム」の名称で推進する人材育成投資で約7000万円、(3)新しいソリューションやデバイスの開発体制強化で約2500万円の費用増になったとする(写真2)。「キャッシュを生み出す力は着実に付いており、現預金も十分(2014年6月末で34億3200万円)にある。年間ベースでうまくコントロールしていく考えで、短期(四半期)で判断すべきではない」(福田尚久副社長)と強調した。

 主力の月額課金SIMの売上高は4億9300万円。2014年3月末から回線数は一時的に減ったが、春商戦のキャッシュバック競争の影響(携帯電話大手にMNPで移転するため、契約後すぐに解約する行為などを指す)が大きく、勢いが落ちたわけではない。2014年1~3月期に16.0%だった解約率(MNPキャッシュバック狙いと想定される1カ月以内の解約を除くと3.7%)は、2014年4~6月期に5.9%(同3.0%)に改善した。2014年4~6月期の平均月額単価は1845円。2014年1~3月期に比べて330円低下したが、基本料を下げた新サービスの投入による影響で、大きな問題はないとしている。

 一方、プリペイドSIMの売上高は1億9500万円(写真3)。2014年4~6月期の新規販売数は5万5377件で、訪日外国人向けの販売環境が制度面を含めて整えば、今後もまだ伸びを期待できるとした。

 モバイルソリューションプラットフォーム(MSP)事業の売上高は4億2000万円。米国のATM向け無線専用線事業が好調なほか、イオンなどと組んで展開する端末とのセット販売もMSP事業に計上しているという。7月にヨドバシカメラ、8月にAmazon.co.jpとも組んで展開を広げており、今後はSIMロック解除の義務化でさらに伸びを期待できるとした。