写真1●2014年4~6月期連結決算を発表するKDDIの田中孝司社長。
写真1●2014年4~6月期連結決算を発表するKDDIの田中孝司社長。
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写真2●付加価値ARPUも順調に拡大。
写真2●付加価値ARPUも順調に拡大。
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写真3●KDDIは「ID×ARPU」の拡大で成長を目指す。
写真3●KDDIは「ID×ARPU」の拡大で成長を目指す。
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 KDDI(au)は2014年7月30日、2014年4~6月期連結決算を発表した。売上高は前年同期比1.8%増の1兆205億円、営業利益は同9.0%増の1947億円と、増収増益だった。スマートフォンへの移行で通信料収入が順調に拡大しており、絶好調が続く。今期は連結営業利益で前期比10.1%増の7300億円を見込み、田中孝司社長(写真1)は「達成に向けて順調な進捗」と総括した。

 法人や海外などを除いた「パーソナルセグメント」の数値を見ると、2014年4~6月期のモバイル通信料収入は前年同期比6.0%増の4291億円。ARPU(契約当たり月間平均収入)も同1.7%増の4220円に拡大した。内訳は、音声が1840円、データが3410円、割り引きの影響額がマイナス1030円となっている。

 2014年4~6月期は春商戦の反動が出て競争が沈静化し、解約率が過去最低水準の0.54%となった。純増数は前年同期の約67万件から大幅減となる約49万件。「これまでのような顧客の行き来が減り、少し弱めに出ている。4月に落ち込み、5月と6月に少し戻り、7月は増えてきた。下期は様々な取り組みで伸びると見込んでおり、通期の目標(265万件)は達成したい」(田中社長)とした。

 携帯電話の販売台数も前年同期比46万台減の183万台(パーソナルセグメント)。このうち、スマートフォンの販売台数は同44万台減の138万台となっており、販促費の減少も利益の押し上げ効果につながっている。

 MNP(モバイル番号ポータビリティー)による転入出状況は非開示とした。「(キャッシュバック競争の自粛で)MNP市場自体が小さくなっているが、(3社間の転入出の)割合はあまり変わっていない」(田中社長)。NTTドコモの新料金プランの影響については、「あまりない。どちらかと言うと、NTTドコモの既存顧客の中で移行が進んでいるのではないか」(同)とした。

 auスマートパスの会員数は、6月末時点で1070万件。スマートフォンの販売時に顧客に提案することが多いため、端末の販売数減少と連動して伸びが若干鈍化した。ただ、付加価値ARPUは順調に伸びており、前年同期比30円増の300円に拡大した。スマートフォンのユーザーに限定すれば470円、auスマートパスのユーザーに限定すれば690円の水準にまで伸びているという(写真2)。

 同社は5月21日にプリペイド型の電子マネー「au WALLET」の提供も始め、申し込み数は6月30日に300万件を突破した。auスマートバリューや新料金プラン「カケホとデジラ」などで契約数(ID)を伸ばしつつ、オンラインのauスマートパスとオフラインのau WALLETの両面で付加価値ARPUを高めていく(写真3)。「ID×ARPUの拡大で成長軌道にしっかり乗せていきたい」(田中社長)と意気込みを語った。