KVHは2014年7月29日、他の顧客とは物理的に隔離したITインフラストラクチャーを提供するクラウドサービス「プライベートクラウド Type-S」を開始した。サービスは、クラウドOS「OpenStack」とネットワーク仮想化ソフトウエアである「MidoNet」を採用して構築した。ユーザーはセルフサービス方式でITインフラを利用したり、論理的に分割されたネットワークを構築したりできる。

 KVHではこれまで、自社で開発したクラウドOS「Turbine」を使ってIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)を構築し、クラウドサービスを提供してきた。今回発表したプライベートクラウド Type-Sでは、Turbineに代わってOpenStackを採用している。同サービスのうたう「プライベートクラウド」とは、KVHのデータセンター内に特定のユーザー専用の物理サーバーと物理ストレージを用意し、OpenStackベースのIaaSをユーザーごとに構築して利用させるというサービスである。一般に「マネージド・プライベート・クラウド」と呼ばれるサービスであり、複数のユーザーが同じハードウエアを共有する「マルチテナント」ではない。

 プライベートクラウド Type-Sで採用したMidoNetは、いわゆる「オーバーレイ方式」のネットワーク仮想化ソフトウエアであり、ハイパーバイザー上で稼働する「仮想スイッチ」間でトンネリング通信を行うことで、「VLAN」に相当する論理的に分割された仮想ネットワークを作り出す。またMidoNetはロードバランサーやファイアウォールの機能も提供する。プライベートクラウド Type-Sでは、ユーザーはセルフサービス方式で仮想ネットワークを構築したり、ロードバランサーやファイアウォールを用意したりできる。

 プライベートクラウド Type-Sの利用料金は、月額100万円から。初期費用は100万円からである。