欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は現地時間2014年7月28日、米Appleによる米Beats Electronicsと同社音楽事業の買収を承認したと発表した。同買収によって市場競争が脅かされる懸念はないと判断したという。

 米Appleは5月に、Beats Electronicsを買収することで両社が合意したと発表した。Beats Electronicsは、ヘッドホンやスピーカーなどオーディオ製品を手がけるほかストリーミング音楽サービス「Beats Music」も運営しており、Appleは総額30億ドルでオーディオ製品と音楽サービスの両事業を獲得する。手続きは2014年第4四半期に完了する見込み(関連記事:AppleがBeats買収へ、ヘッドホン事業と音楽サービス事業を30億ドルで)。

 ECは、欧州経済領域のヘッドホン市場におけるAppleとBeats Electronicsの合計シェアは低く、米BoseやドイツSennheiser、ソニーといった強力な競合社が存在すると判断。また音楽サービスに関しては、Beats Musicが欧州経済領域でサービスを展開していないこと、Appleは英SpotifyやフランスDeezerといったサービスとの競争に直面していることから、両社の合併が反競争的影響を及ぼす可能性はほとんどないと結論づけた。

 なお、Beats Electronicsは、同社のヘッドホン「Studio」および「Studio Wireles」が特許を侵害しているとして、米Boseによって特許侵害訴訟を起こされている(関連記事:Appleが買収予定のBeats、雑音除去特許の侵害でBoseが提訴)。

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