企業会計基準委員会(ASBJ)は2014年7月24日、第292回委員会で「日本版IFRS(国際会計基準)」公開草案について議決。出席した委員全員が賛成し、草案は承認された。委員から内容の修正に関する意見はほとんど出なかったため、7月末にも公開される見込みだ。

 懸案だった基準の名称も決まった。日本語表記で「修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)」、英語表記で「Japan's Modified International Standards(JMIS)、Accounting Standards Comprising IFRSs and the ASBJ Modifications」という長いものになった。略称は日本語表記が「修正国際基準」、英語表記が「JMIS(ジェイミス)」である。

10月末までコメント募集

 修正国際基準は、日本版IFRS、J-IFRSなどと呼ばれる「エンドースメントされたIFRS」のこと。IFRSそのもの(ピュアIFRS)を構成する基準一つひとつを検討し、必要に応じて削除または修正したものを指す。

 ASBJは日本版IFRSに関して、「IFRSのエンドースメントに関する作業部会」で17回にわたり議論してきた。削除/修正する項目を「のれん」と「当期純利益/リサイクリング」に絞った形で公開草案を作成。2014年7月18日に開催した第17回作業部会で、ひとまず作業を終えた(関連記事:「日本版IFRS」作業部会での議論終了、8項目の質問付きで公開草案へ)。

 修正国際基準の公開草案は以下で構成される。

(1)「修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)(案)」の公表
(2)修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)(案)の公開草案の公表に当たって
(3)修正国際基準の適用(案)
(4)企業会計基準委員会による修正会計基準公開草案第1号「のれんの会計処理(案)」
(5)企業会計基準委員会による修正会計基準公開草案第2号「その他の包括利益の会し計処理(案)」

 内容は、第17回作業部会で議論したものとほぼ同じである。(1)では8項目の質問のほか、修正国際基準の構成、修正会計基準第1号と第2号の内容、適用時期等について説明を付けている。

 作業部会の部会長を務めた小賀坂敦ASBJ副委員長は、基準の名称について「国内外の関係者と話をして、この名称に決めた。長い名前だが、国際会計基準から派生したものにASBJが策定した基準を加えたものであることを表している。なぜこの名称にしたのか、理由もきちんと説明していきたい」と話す。委員の一人は「カッコ内であるにせよ、国際会計基準、IFRSという文言が名称に入った意義は非常に大きい。導入が進むかどうかの決め手の一つとなる」と意見を述べた。

 (1)では、

・制度の適用対象企業
・適用時期
・修正国際基準、日本基準、指定国際会計基準(ピュアIFRS)の間の際に関する記載の要否

については、修正国際基準が金融庁により制度化される段階で定められる見込みとしている。7月末に公開草案が公開されたとすると、10月末までコメントを募集。そのコメントに基づいて公開草案を修正したうえで、金融庁企業会計審議会を開催。制度化に向けた作業を進める、という流れを採るとみられる。