「かざす未来を描く2日間」をテーマに、非接触ICカードのFeliCaおよびNFC(Near Field Communication)の今後を展望するイベント「FeliCa Connect 2014」が、2014年7月17日、18日に東京・渋谷ヒカリエで開催された。その基調講演で、イベントを主催するソニーとフェリカネットワークスがFeliCa/NFCのデバイスの多様化と、ソリューションの広がりの現状と将来について説明した。

2020年に倍増する訪日外国人に利便性を

 最初に登壇したソニー 執行役 EVP イメージング・プロダクツ&ソリューションセンター長の根本章二氏は、1980年代後半から続くFeliCaの歴史を振り返り、「ステークホルダーとの協業で、カードや携帯電話をかざす新しいユーザー体験を提供してきた。ソニーの理想を体現する商品の1つで、ユーザーからも高い評価を得ている。かざすというライフスタイルは、一度使うとやめられないもので、既に国内でしっかりと定着している」と語った(写真1)。

写真1●ソニー 執行役 EVP イメージング・プロダクツ&ソリューションセンター長の根本章二氏
写真1●ソニー 執行役 EVP イメージング・プロダクツ&ソリューションセンター長の根本章二氏
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 ソニー/フェリカネットワークスの推定によると、交通系ICと主要電子マネーの年間利用件数は150億件に上る。これは、「日本人1人が年間100回以上使っている」(根本氏)という高い利用頻度になる。主要電子マネーの決済総額も2007年の約5600億円から、2013年には約3兆1000億円へと急伸した(写真2)。

 さらに、FeliCa/NFC活用のユースケースとして、ソニー製品へのFeliCa/NFC機能搭載を掲げる。根本氏は、「スマートフォンをスピーカーにかざすだけで音楽を聴けたり、大画面テレビにかざしたりするだけで映像を見られるといった新しいユーザー体験を提供している。既に150を超える製品がソニーから提供され、FeliCa/NFCの新しい世界を提案している」と、利用範囲の広がりを説明する。

写真2●FeliCa、おサイフケータイの年間利用件数が150億件に上り、年間決済総額が3兆円を超えたことを説明する根本氏
写真2●FeliCa、おサイフケータイの年間利用件数が150億件に上り、年間決済総額が3兆円を超えたことを説明する根本氏
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 根本氏によると、今後のユースケースとして注目しているのは、ヘルスケアや、O2O(オンラインツーオフライン)、エンターテインメント、認証などの分野だという。これまでは店舗や交通機関でカード、おサイフケータイが読み取られる形態が主流だったが、それ以外の新しいユースケースの創出に取り組む。