米Wall Street Journal(WSJ)は現地時間2014年7月23日、米Appleが今秋発売するiPhoneの新モデルによって、アジアの電子機器製造メーカーの業績にプラスの影響がもたらされると報じた。

 この報道に先立ち同紙は、Appleが、iPhoneの製造を手がける台湾Hon Hai Precision Industry(鴻海精密工業)と、台湾Pegatron(和碩聯合科技)に対し、年末までに新モデルを7000万~8000万台生産するよう依頼したと伝えていた

 Appleは昨年の同じ時期、アジアの工場にiPhone 5sと同5cの生産を依頼したが、その時の初回発注台数は5000万~6000万台で、今年は2000万台ほど多い。iPhoneの新モデル「iPhone 6」(通称)は画面サイズが4.7インチと5.5インチの2モデルが用意されると見られている。Wall Street Journalは事情に詳しい関係者の話として、Appleはこの2モデルを8月に量産するのに先立ち、これまで複数のアジアメーカーに部品を発注してきたと報じている。

 Appleは部品メーカーの名を公表していない。だがアナリストらは、これまでiPhoneの主要部品を手がけた台湾、日本、韓国のメーカーが新モデルのディスプレイ、カメラレンズ、マイクロプロセッサなどを供給すると見ている。

 同紙によると、これまで次のようなメーカーがiPhoneの部品を手がけた。

  • ジャパンディスプレイと韓国LG Display(iPhoneの最も高価な部品であるディスプレイを供給)
  • 台湾Catcher Technology(同様に高価な部品であるメタルケースを供給)
  • 台湾Largan Precision(カメラレンズ)
  • 韓国Samsung Electronics(メモリーチップとマイクロプロセッサ)
  • 台湾Hon Hai Precision Industryと台湾Pegatron(iPhoneの組み立て)

 このほか最近は台湾TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing)も新たなサプライヤとなっており、4~6月期にApple向けにマイクロプロセッサを出荷したという。

 これらメーカーのうち数社は、過去最高の業績結果や業績見通しを発表しており、iPhoneの経済効果は大きいという。「台湾経済へのiPhoneの貢献度はますます高まっている」と話すアナリストもおり、アジア地域におけるAppleの存在は重要になっているとWall Street Journalは伝えている。