米Amazon.comは現地時間2014年7月18日、電子書籍が読み放題になるサービス「Kindle Unlimited」を正式発表した。料金は1カ月9.99ドルで、約60万タイトルの電子書籍とオーディオブックを無制限に利用できる。サービスは同日に開始したが、今のところ米国以外では利用できない。ただし、Amazon.comは他国でのサービス展開も計画しており、準備が整い次第案内するとしている。

 Amazon.comには、有料プログラム「Amazon Prime」の加入者が、Kindleシリーズの端末上で1カ月に1冊書籍をレンタルできるサービス「Kindle Owners' Lending Library」がある。新サービスはこれとは異なり、書籍の数に制限はなく、Kindleシリーズ以外の端末でも利用できる。同社が用意している、iOS、Android、Windows Phone、BlackBerry、Windows、OS X(Mac)用のアプリ、またはWeb版の電子書籍アプリ「Kindle Cloud Reader」で利用できる。

 Amazon.comによると、Kindle Unlimitedの特徴は、約2000冊あるオーディオブックを利用できる点。これらは同社傘下の米Audibleのタイトルで、プロのナレーターによる朗読が楽しめる。データ同期機能「Whispersync for Voice」に対応しており、電子書籍で途中まで読んだ箇所から朗読を開始したり、その逆も可能となる。

 米New York Timesによると、Kindle Unlimitedには今のところ大手5社の出版社の作品がない。これに対しAmazon.comのライバルとなる米Scribdのサービスは、Simon & Schusterや、HarperCollins、Wileyをはじめとする900社以上の出版社の書籍を用意している。また、米Oysterは、米大手出版社10社のうち6社の書籍を用意している。月額料金はそれぞれ8.99ドルと9.95ドルとAmazon.comのサービスとあまり変わらないため、Amazon.comがこれら競合に対抗するためには、コンテンツの拡充が不可欠だと、同紙は伝えている。

 Amazon.comのKindle Unlimitedについては、正式発表の2日前にテストページが一時的に公開され話題になった。これを受け、複数の海外メディアは、まもなくサービスが始まることを示唆していると伝えていた(関連記事:米Amazon.com、電子書籍の定額サービス開始か? テストページを一時公開

[Amazon.comの発表資料]