KDDIと住友商事は2014年7月16日、ミャンマー連邦共和国の通信事業へ参入することを正式に発表した。KDDIと住友商事は2013年12月に、同国の独占的な国営通信事業者である「MPT(Myanmar Posts & Telecommunications)」に対する、提携パートナーの独占交渉権を獲得。7カ月かかってパートナーシップの体制を固め、同日付けでMPTとの間で共同事業運営契約を締結した。

 日本国内で会見したKDDIの石川雄三代表取締役執行役員専務は「ミャンマーは“最後のフロンティア”と呼ばれるほど成長著しい通信市場。リスクは少なく、短期間で黒字転換できる」と答えた(写真1)。KDDIと住友商事は、今後約10年間でミャンマー国内に約2000億円の設備投資を実施する計画だ。

写真1●左からKDDIの石川雄三代表取締役執行役員専務、キン・マウン・ティン駐日ミャンマー連邦共和国大使、住友商事の佐々木新一代表取締役副社長執行役員
写真1●左からKDDIの石川雄三代表取締役執行役員専務、キン・マウン・ティン駐日ミャンマー連邦共和国大使、住友商事の佐々木新一代表取締役副社長執行役員
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携帯普及率はわずか1割程度、高い潜在力を秘めるミャンマー市場

 ミャンマーは長く続いた軍事独裁政権体制の影響から、産業発展が立ち後れている。携帯電話の普及率もアジア周辺国と比べて著しく低く、2013年時点でわずか10.5%にとどまっている(写真2)。GDPが同程度のカンボジアの携帯電話普及率が131.5%を超えていることから、「普及率が低いのはGDPが要因ではなく、通信インフラや電力インフラなどが発展途上であることが理由」(石川専務)と考えられている。逆にインフラさえ整備されれば、急速な市場拡大が見込まれるわけだ。

写真2●ミャンマーの携帯電話の普及率はわずか10.5%にとどまり、急速な市場拡大が見込まれる
写真2●ミャンマーの携帯電話の普及率はわずか10.5%にとどまり、急速な市場拡大が見込まれる
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