エヌビディアは2014年7月16日、GPUコンピューティングのカンファレンス「GPU Technology Conference Japan 2014」(GTC Japan 2014)を開催した。基調講演には米エヌビディアのフェローであるデビット・カーク氏が登壇(写真1)。GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)コンピューティングの広がりや最新の事例を紹介し、「Tegra K1」や「Pascal」など発表済みの同社の新製品やロードマップについて改めて解説した。
カーク氏は基調講演の冒頭で、エヌビディアがGPUコンピューティングのプラットフォームとして用意している「CUDA」の広がりについて「スマートフォンやタブレットから自動車まであらゆるデバイスで使われている」と強調。これまでに出荷したCUDA対応のGPUは約5億2000万個、CUDA開発環境のダウンロード数は250万、論文数は5万8000、CUDAについて学ぶコースが全世界の大学で770あることなどを紹介した。2010年は480名だったGTC Japanの参加者も、2014年は1500名以上を見込むなど大幅に増加したという。
続いてカーク氏は、最新事例を解説した。無人消火飛行機のナビゲーションや衝突検知にGPUコンピューティングを利用している「プロジェクトResQu」、エイズウイルスの感染のメカニズムをシミュレーションで研究するイリノイ大学の取り組み、乳がんの早期発見に使っている米ホロジック社といった海外事例のほか、日本の大学での研究事例を紹介した(写真2、写真3)。例えば北海道大学は、手術のトレーニングにつながる研究として、生体の軟組織の変形や破壊のシミュレーションにGPUコンピューティングを使っている。