国際電子出版フォーラムが策定する電子書籍用のファイル規格。「リフロー」機能でテキストの表示方法を画面サイズに合わせて調整できるため、同じファイルをさまざまな端末で利用できる。事実上の標準規格となっている。

 「EPUB」は、国際電子出版フォーラム(International Digital Publishing Forum)が策定する電子書籍用のファイル規格。異なる画面サイズの端末で電子書籍を閲覧することを考慮しており、縦書きやルビにも対応している。

 EPUB登場以前は電子書籍サービスごとにファイル規格が異なり、互換性がなかった。現在でも独自規格を採用しているサービスがあるが、独自規格に加えてEPUBも閲覧できたり、EPUBを中間ファイルとして独自規格に変換できたりする場合が多い。そのため電子書籍の提供側としては、EPUBでコンテンツを準備すれば幅広いサービス、端末向けに電子書籍を提供できる。

 EPUBには読書に特化した機能がたくさん盛り込まれている。電子書籍を閲覧ソフトや端末で表示する際のフォントの種類変更や文字サイズの指定、気になる部分にアンダーラインやコメントを設定する機能、読みかけの部分にしおりを入れる機能などだ。

 EPUBファイルを閲覧するには、対応するソフトや機器が必要だ。パソコン向けには専用閲覧ソフトのほか、Webブラウザーで閲覧するためのプラグインソフトが提供されている。また、米マイクロソフトが2017年初めに提供を予定している「Windows 10 Creators Update」では、Webブラウザーの「Edge」でEPUB形式のファイルを閲覧できるようになる予定だ。

 EPUB編集ソフトを使えば、テキストエディターやWordで作成した文書ファイルから自作のEPUBファイルを作れる。また著作権切れの書籍をEPUB形式で提供するWebサイトもある。こうして準備したEPUBファイルは直接、または専用形式に変換することで、電子書籍専用端末で表示することも可能だ。なお、商用サービスで販売されている電子書籍には通常DRM(デジタル著作権管理)が掛けられているので、ほかのサービスや端末向けに変換したり利用したりはできない。

米マイクロソフトが2017年初めに提供を予定している「Windows 10 Creators Update」では、Webブラウザーの「Edge」でEPUB形式のファイルを表示できるようになる。EPUBファイルは、文字サイズや背景色を好みに変更できる
米マイクロソフトが2017年初めに提供を予定している「Windows 10 Creators Update」では、Webブラウザーの「Edge」でEPUB形式のファイルを表示できるようになる。EPUBファイルは、文字サイズや背景色を好みに変更できる
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