パソコン、スマートフォン、デジタルカメラなど故人が生前利用していた電子機器に残されたデータや情報のこと。ネット専業銀行の口座情報が分からないなど、資産に関連する深刻な問題も発生している。

 デジタル遺品とは、パソコン、スマートフォン(スマホ)、携帯電話、デジタルカメラなど、故人が生前利用していた電子機器に残された情報やデータのこと。多くはパスワードによって本体にロックをかけていたり、フォルダーがロックされていたりすることが多い。こうした理由から、あらかじめ遺族にパスワードを伝えておかないと、残したいデータを引き継げなくなってしまう。

 事態を複雑化させているのがインターネットの生活インフラ化である。スマホの爆発的普及がさらに拍車をかけた。今や高齢者でも写真やデータをクラウドにアップロードして保存する。それらデータ類をサービスから一括削除などする場合は、故人のID/パスワードが不可欠となる。ブログやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などでは、アカウントが“乗っ取られる”危険性もあり、生前から信頼できる近親者にアカウント情報を伝えておいた方が無難だろう。

 さらに深刻なのは、ネット専業銀行やネット専業証券会社との金融関連取引などだ。仮にネット専業銀行に資産を残していた場合、遺族がその資産に気が付かずに死蔵してしまう可能性もある。株の売買やFX(外国為替証拠金取引)の損失を負担しなければならないといったトラブルも発生しているという。

 2016年8月には、「一般社団法人デジタル遺品研究会ルクシー」が発足。デジタル遺品の整理やトラブル解決を支援している。

●デジタル遺品の一般社団法人も発足
●デジタル遺品の一般社団法人も発足
写真はデジタル遺品研究会ルクシーのホームページ(http://www.lxxe.jp/)。問い合わせフォームからデジタル遺品に関する疑問や相談を受け付けている
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