インターネット上にデータを暗号化した安全な経路を作る仕組み。主に企業で重要な情報をやり取りするために利用されてきた。最近は個人利用者が公衆無線LANを使う際に盗み見対策として利用することも多い。

 VPNは「Virtual Private Network」(仮想プライベートネットワーク)の略称。企業の拠点間を接続するために利用されていて、暗号化などのセキュリティ機能も盛り込まれている。接続端末からVPNサーバーまでの通信を丸ごと暗号化するので、途中で通信が傍受されても内容が漏洩しづらい。

 VPNの利用は企業だけでなく、個人にも広がりつつある。主に公衆無線LANなど誰でも利用できるアクセスポイントを使ってネット接続する際に、通信内容をのぞき見される危険を減らすためだ。無線LANでインターネットに接続する際、通信エリア内で電波を傍受するのは簡単だ。そのため通信内容を暗号化するのが一般的だが、現在広く使われている暗号化方式「WPA2」に「KRACKs」と呼ばれる脆弱性があることが2017年10月に明らかになった。端末や無線LAN機器のソフトウエア更新で解消できるといわれているが、ソフトウエアが提供されない機器や更新しないまま使い続ける機器も相当数残りそうだ。そこで利用者側でできる自衛策として、VPNの利用に注目が集まっている。

 個人でVPNを利用するには、個人向けのVPNサービスを利用するか、自宅の無線LANルーターのVPNサーバー機能を使うのが一般的だ。VPNサービスには無料のものと有料のものがあり、一般的に有料のものの方が安定して利用できる。パソコンやスマートフォン、タブレットそれぞれに標準のVPN接続機能があるほか、専用のソフトやアプリを使って手軽に接続できるサービスもある。

VPNの仕組み。端末と無線LANアクセスポイントの間で情報が盗み見られた場合でも、暗号化を解除されない限り内容は知られずに済む
VPNの仕組み。端末と無線LANアクセスポイントの間で情報が盗み見られた場合でも、暗号化を解除されない限り内容は知られずに済む
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