企業やグループが独自の仮想通貨を売り出して資金を集める新しい資金調達方法。仲介業者を通さないため低コストで資金調達できる。出資者は通貨を売買したり出資先の製品やサービスと引き換えたりして利益を得る。

 「ICO(Initial Coin Offering)」と呼ばれる新しい資金調達方法が注目を集めている。未上場企業が、新規に株式を証券取引所に上場して投資家に株式を売り出す「IPO(Initial Public Offering)」に似た仕組みで、株式に代わって独自の仮想通貨(トークン)を発行するのが特徴だ。証券会社などの仲介業者を通さないため低コストで資金調達できるほか、インターネットやスマートフォンアプリを使って世界中の投資家から広く資金を募ることができる。

 投資家は入手した仮想通貨を使って出資先が提供予定の製品やサービスと引き換えたり、値上がり後の仮想通貨を売買したりすることで利益を得る。2017年に入りビットコインが大幅に値上がりするなど仮想通貨全般への関心が高まっていることも後押しとなり、ICOで大型の資金調達に成功する事例が出ている。

 一方で仲介業者が入らない分、ICOでは出資先の信頼性や事業の将来性に対する投資家の「目利き」が非常に重要となる。2017年9月上旬、中国当局はICOを全面禁止した。海外では複数の金融監督機関がICOのリスクを警告しており、今後規制が広がる可能性もある。

CoinSchedule.comでは、出資募集中のICO案件を一覧できる。ゲームや不動産、金融、エネルギーインフラ、医療などさまざまな分野のプロジェクトがICOを利用して資金を集めている
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