パソコンのグラフィックス性能を高めるグラフィックスボードを外付けで利用できる周辺機器。ノートパソコンと組み合わせると、携帯性と高いグラフィックス性能を用途に合わせて使い分けられる。

 高精細なゲームや4Kビデオ、仮想現実(VR)の普及に伴い、パソコンに求められるグラフィックス性能は年々高まっている。デスクトップパソコンなら高性能のグラフィックスボードを追加して対応できるが、グラフィックスボードの追加や交換を前提に作られていないノートパソコンでは、携帯性と高いグラフィックス性能の両立は難しい。これまでは製品選びの段階で、ゲーム用途を見込んでグラフィックス性能に優れた大型モデルを選ぶか、携帯性を重視してグラフィックス性能に劣る小型モデルを選ぶしかなかった。

 一方で外付け機器用のインタフェースの高速化が進み、最大で20G~40Gbpsの高速伝送が可能なThunderbolt 2/同3といった高速インタフェースがノートパソコンにも搭載されるようになった。高度なグラフィックス処理には高速なデータ転送が必要なため、グラフィックスボードの接続には内蔵の高速インタフェースを使うのが一般的だったが、外付け用の高速インタフェースの登場で、グラフィックスカードの外付け利用も現実的な選択肢になった。そこでノートパソコンのグラフィックス性能を手軽に高める目的で登場したのが「GPU BOX」だ。文書作成やWebブラウジングなどの軽作業が中心の場合はノートパソコン単体で利用し、ゲームや4K動画の編集といった高いグラフィックス性能が必要なときだけGPU BOXを接続するといった使い分けができる。

 GPU BOXの多くは、大きめの外付けハードディスクドライブのような箱型の形状をしている。中には電源とグラフィックスボードが入っているほか、ゲームコントローラーや周辺機器を接続するためのUSBハブ機能、増設用SSDの接続端子、Gigabit Ethernet端子などを備え、機能拡張ドックのように利用できる製品もある。また電源とケースのみで、グラフィックスボードは市販のデスクトップ用の好きなものを選んで利用できる製品もある。

台湾ギガバイト・テクノロジーが2017年6月に発表したGPU BOX「AORUS GTX 1070 Gaming Box」。箱の中にはハイエンド向けのグラフィックスボード「GeForce GTX 1070」が入っている
台湾ギガバイト・テクノロジーが2017年6月に発表したGPU BOX「AORUS GTX 1070 Gaming Box」。箱の中にはハイエンド向けのグラフィックスボード「GeForce GTX 1070」が入っている
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