「OS X」に代わる米アップルのMac用OSの新名称。iOSとの連携強化、異なるデバイス間のファイル共有、音声アシスタント「Siri」のパソコン版など新機能を盛り込んだ。2016年秋に無料で公開する予定。

 米アップルのMac用OSが実に15年ぶりにメジャーアップデートを図った。2016年6月、米アップルが開催した開発者会議「WWDC 2016」で明らかにしたもので、新名称を「macOS(マックオーエス)」とした。これまでの名称は「OS X(オーエステン)」だった。OSには愛称が付いており、最新バージョンを「macOS Sierra」と呼んでいる。

 前回のメジャーアップデートは内部の基本構造を大幅に変更したが、今回はおおむね延長路線を取っている。ユーザーインタフェースはOS Xを踏襲しており、既存のMacユーザーならば基本操作に迷うことはない。

 代わりに注力したのは新機能だ。まずはiPhone/iPadに搭載されているiOSとの連携を強化。独自クラウドサービスの「iCloud」を経由し、書類フォルダー上のファイルを自動で同期することで、デバイスに関係なくファイルを共有できるようになった。さらに「ユニバーサルクリップボード」と呼ぶ機能を使い、MacとiPhone/iPad間でテキスト、写真、動画のコピー・アンド・ペーストを可能とした。

 音声アシスタント機能「Siri」が搭載されたのも目玉の一つ。macOSへの搭載により、iOS、watchOS、tvOSという4つのプラットフォームでSiriが利用できるようになり、音声アシスタントのシームレスな連携を強めた。

 そのほか、Web上の動画を切り離し、ほかの作業と並行しながら鑑賞できる「ピクチャ・イン・ピクチャ」、ユーザーが認証済みのApple Watchを装着していれば近付くだけでMacのロック画面を解除できる「オートアンロック」、iCloudと連携した容量最適化の「オプティマイズドストレージ」、Webブラウザー以外のアプリにタブを付加するなど、“かゆいところに手が届く”機能を搭載。2016年秋を目指し、消費者向けに無料で公開する予定だ。

●iOSとシームレスにつながる
●iOSとシームレスにつながる
米アップルが公開した「macOS Sierra」のイメージ。iPhoneとMacが連携する姿はもはや日常的なものとなった
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