自発光する有機ELパネルを使用するテレビ。次世代テレビとして注目を集めている。2017年に入り、東芝、ソニー、パナソニックと国内大手メーカーが続々参入する一方で、価格の高さが普及の課題となっている。

 次世代テレビの本命として、「有機ELテレビ」が脚光を浴びている。2017年に入り東芝、ソニー、パナソニックと国内有力メーカーが製品を投入し、「有機ELテレビ元年」と呼ばれるまでになった。

 有機ELのELとはエレクトロルミネッセンスの略称で、自らが発光を伴う物理現象を指す。現在の有機ELディスプレイは、この性質を利用した有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode、OLED)を用いている。

 自ら発光する特徴が、バックライトで照らす液晶テレビとの大きな違いだ。バックライトがない分、物理的なスペースを省略できるため超薄型テレビが可能となり、パネルを曲げやすい性質もある。その他の特徴としては、表現力の豊かさや応答速度の高さ、視野角の広さなどが挙げられる。一方、液晶テレビと比較して明るさ(輝度)には弱い面がある。

 2007年にはソニーが世界初となる11型の有機ELテレビ「XEL-1」を発売。最薄部が約3mmと画期的なデザインだったが、パネル量産の難しさから市場価格が約20万円となった。そのため普及には至らず、2010年に生産を終了した。その後、有機ELディスプレイは小型パネルの量産化に成功し、スマートフォンなどに積極採用されるようになった。

 こうした中、大型パネルの開発を継続してきた韓国LG電子が現在の有機ELテレビ隆盛の立役者となっている。2013年以降、同社は次々と大型モデルを発表。公式には明かしていないものの、前述した国内メーカーもLG電子からパネルを調達しているという。供給源が限られるため、国内製品の市場価格は55型で50万円弱と高価だ。技術の発展に伴い、パネル量産・低価格化に期待がかかる。

「1枚の板」を思わせるテレビ
「1枚の板」を思わせるテレビ
ソニーの65型モデルの製品「BRAVIA KJ-65A1」。1枚の板をモチーフにしたデザインで、画面は約8mmの薄さだ
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