2015年9月に公布された「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)の改正法。全面施行は公布から2年以内。10年ぶりの改正となり、新たにパーソナルデータの利活用やグローバル化への対応などを盛り込んだ。

 2005年4月に全面施行した個人情報保護法は、高度情報化社会における個人情報の適正な取り扱いに主眼を置いて制定された。一方で情報通信技術の急速な発展やグローバル化の本格的な到来など、個人情報を取り巻く環境は2005年当時とは比較にならないほど複雑さを増している。こうした状況に対応すべく、政府は2013~2014年にかけてIT総合戦略本部で新たな枠組みを検討する有識者会議を実施。ここでの改正大綱を基に国会で議論を重ね、2015年9月に改正個人情報保護法が公布された。全面施行は2016年下半期以降となる。同タイミングで、マイナンバーの利用拡充を目的とした番号利用法の一部改正も公布された。

 概要を説明する政府資料には、「個人情報の保護を図りつつ、パーソナルデータの利活用を促進することによる、新産業・新サービスの創出」と明記されており、その基本コンセプトがビッグデータ時代を見据えたものであることが分かる。独立性の高い機関として新たに個人情報保護委員会も設置し、個人情報の適正な保護と活用の指針策定などに取り組む。

 ビッグデータ活用での大きなトピックは「匿名加工情報」だ。これは個人が特定されないようにデータを加工し、なおかつ復元もできないデータのこと。本人の同意がなくとも利用できるとしている。例えばIoT(Internet of Things)における機器が収集したセンサーデータを匿名加工情報にすることで、その活用法は大きく広がるとされる。ただし、匿名加工情報は個人情報保護委員会のルールにのっとってデータを加工する必要があるほか、他社提供時の公表義務、堅牢なセキュリティ構築などの課題もある。

●個人情報保護法改正の主なポイント
●個人情報保護法改正の主なポイント
出典:改正個人情報保護法 概要(IT総合戦略本部 パーソナルデータに関する検討会の資料より)
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