チャット(会話)に自動応答する機能のこと。「ボット」はロボットに由来する。学習機能を持つ最新型が台頭し、LINEや米フェイスブックがチャットボットの新サービス導入を発表するなど注目を浴びている。

 チャットボットの始まりは1960年代に遡るとされる。その後、1990年代のインターネットの普及により、コンピューターでのチャットが盛んになったことから機能が洗練されてきた。自動応答という特徴から人工知能(AI)によるサービスだと思われがちだが、これまでのチャットボットは基本的にはあらかじめプログラムされたメニューを組み合わせて返答パターンを選ぶものだった。

 現在注目を集めるチャットボットはまさに人工知能による応答を加味した進化版で、データを分析する学習機能を備える。2016年4月にはLINE、米フェイスブックがチャット機能の中でのチャットボットの強化を、5月には米グーグルが人工知能内蔵のチャットアプリ「Allo」を発表した(公開は今夏予定)。

 チャットボットは、検索の次のサービスの主役になると期待されている。チャットボットはチャット画面がサービスの入口になる。例えばチャット画面で「近くでお薦めのレストランは?」と質問すると、チャットボットが最適な答えを返してくれる。これまでユーザーが何かを知りたいときは検索サービスを利用するのが一般的で、Webブラウザーや別アプリを立ち上げて検索していた。

 LINE、フェイスブックともに個人の嗜好や行動パターンを含む膨大なデータを蓄積している点もチャットボットを後押しする。それらを分析することで、的確でかつ、自然な対応が期待できることから、企業のマーケティング用途としても注目が集まる。北米の若者に人気のメッセンジャーアプリ「Kik(キック)」などは独自に“ボットストア”を立ち上げた。一般消費者向けに商品やサービスを提供する多くの企業がチャットボットを登録し、ユーザーはそれらをチャットに付加できる。LINEも今夏をめどに「BOT STORE」を公開予定だ。

LINEは2016年4月、チャットボットを開発するためのAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)の提供を開始した
LINEは2016年4月、チャットボットを開発するためのAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)の提供を開始した
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