一度に最大500文字のコメントを投稿できるTwitter似の分散型SNS。オープンソースのソフトを使い、誰でもサービス提供できる。特定のテーマに関心のあるユーザー向けのサービスが多数提供され、利用者が増加している。

 2017年4月に入ってから「マストドン」というサービスへの注目が急速に高まっている。マストドンは見た目や操作方法がTwitterに似ているSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)だ。ただしTwitterと大きく異なる点が2つある。一つは一度に投稿できる文字数がTwitterの140文字に対して、マストドンでは500文字と多いこと。もう一つはソフトウエアが無償公開されており、誰でもサーバー(インスタンス)を立ち上げてサービス提供できることだ。

 マストドンのインスタンスは、特定のユーザー層を対象として開設されるものが多い。例えばゲームに関心のあるユーザーを対象としたインスタンスや、ある地域に住むユーザーを対象としたインスタンスといった具合だ。ユーザーは自分で興味のあるインスタンスを選んで、それぞれでアカウントを作成し、そこでやり取りされている話題に参加する。

 特定のテーマに関心のあるユーザーが集まるという特性から、会員制サービスにおける会員同士のコミュニケーション手段としての利用にも注目が集まっている。例えば、自作イラストの投稿サービス「pixiv」を運営するピクシブや「ニコニコ動画」を運営するドワンゴが、主に自社サービスの利用者を対象としたインスタンスの提供を開始した。

 TwitterをはじめとするSNSは通常、サービス提供事業者が1社でサーバーの運用とユーザー管理を行っている。これは事業者にとって広告掲載などのビジネス展開がしやすく、利用者にとっても事業者の信頼度を見て個人情報を預けられるメリットがある。一方で誰でもサービスを提供できるマストドンでは、事業者1社の都合でサービス内容が変更されたりサービスが休止になったりしないメリットがある半面、運営者がどの程度信頼できるのか分かりづらい。マストドン用にIDやパスワードを作成する際は、ほかのサービスと共通のものを使わないなどの対策をした方がよいだろう。

 Twitterよりも長いコメントを投稿できるミニブログサービス「マストドン」。使い方や見た目はTwitterに近い。テーマ別にたくさんのサーバーが立ち上がる様子は、まるでパソコン通信時代にたくさんの会議室が開設された様子を見ているようだ
Twitterよりも長いコメントを投稿できるミニブログサービス「マストドン」。使い方や見た目はTwitterに近い。テーマ別にたくさんのサーバーが立ち上がる様子は、まるでパソコン通信時代にたくさんの会議室が開設された様子を見ているようだ
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