半導体技術を採用した固体撮像素子のこと。デジタルカメラのレンズを通して入ってきた光の明暗を電気信号に変換する。超小型かつ高性能なセンサーも登場し、スマートフォンのカメラ機能向上に寄与している。

 デジタルカメラのイメージセンサーは人間の目で言えば網膜に相当するもので、レンズを通して入ってきた光の明暗を電気信号に変換(光電変換)して画像を結ぶ。大きく分けてCCDイメージセンサー(以下CCD)とCMOSイメージセンサー(以下CMOS)の2種類があり、デジタルカメラの普及期である2000年代半ばまではCCDが隆盛だった。それまでのCMOSは“低価格だが画質が悪い”という評価だったが、技術の進化とともに高画質化。以降各企業で開発が進み、低消費電力と高速な画像読み出しの特性から、今ではCMOSが主流となっている。

 CMOSを製造する企業としてはソニー、韓国サムスン電子、米オムニビジョン・テクノロジーズ(2015年に中国の投資会社が買収)が有名。中でも高画質CMOSがブレークするきっかけとなったのは、ソニーが2008年に開発した裏面照射型の「Exmor R(エクスモアアール)」だ。このセンサーは、フォトダイオードと呼ぶ光検出器の下に配線層を配置することで、より多くの光を取り込み、大幅なノイズの低減と感度の向上を実現。これにより、「暗所でもきれいに撮れる」ことが受け、コンパクトデジタルカメラを中心に普及した。

 その後、ソニーは積層型構造にして、より小型化を図った「Exmor RS」を2012年に開発。モバイル機器向けには「Exmor RS for mobile」を展開し、ソニーモバイルコミュニケーションズのスマートフォン「Xperiaシリーズ」などが採用する。iPhoneのカメラにソニー製センサーが採用されているのもよく知られている。今後は小型・高機能を生かし、IoT機器への搭載も期待される。

ソニーの積層型CMOSイメージセンサー「Exmor RS」の最新型「IMX318」。0.03秒の高速オートフォーカスが可能だ
ソニーの積層型CMOSイメージセンサー「Exmor RS」の最新型「IMX318」。0.03秒の高速オートフォーカスが可能だ
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