常時通信によってネットワークと接続しながら新たな付加価値を生み出す次世代の自動車像。IoT(モノのインターネット)の普及により生まれた概念であり、自動車を1つの情報端末として捉えるのが特徴だ。

 最近の自動車は走るコンピューターとも言われ、多種多様なセンサーやチップによって電子制御を行っている。こうした特性を生かし、クラウドネットワークと常時接続しながらデータを収集・分析し、新たな価値を創造する“次世代のクルマ”としてコネクテッドカーが大きな注目を集めている。

 2010年代初頭、カーナビなど車載機器を中心とした情報サービス「テレマティクス」に各自動車メーカーが取り組んだ。コネクテッドカーはその延長線上の概念といえる。改めて自動車のIT化を推進する背景には、無線通信の大容量・高速化、ビッグデータ分析手法の確立、スマートフォンの浸透、モノがインターネットにつながるIoTの普及など、情報インフラやテクノロジーの進化によって実現性が高くなったことがある。

 この分野では欧州の取り組みが早く、2018年4月からは事故発生時の緊急通報システム「eCall」の新型車への搭載を義務付ける。センサーが事故発生を検知して自動で情報を送信し、GPS情報を基に位置を特定。以前に比べて迅速な救急対応が可能となる。

 日本でも各メーカーがしのぎを削る。日産は2016年10月にコネクテッドカーの将来ビジョンを公表し、明確な企業戦略として位置付けた。トヨタ自動車は2017年3月、NTTグループとコネクテッドカーにおける技術開発・協力を行うことを発表。次世代超高速通信の5GやAI(人工知能)、データ収集基盤構築などで幅広く協業していく。これらは自動運転技術とも密接に関わってくるだけに、他業界を巻き込みながら発展を続けていくことが予想される。

コネクテッドカーが注目される背景
コネクテッドカーが注目される背景
総務省 平成27年版情報通信白書 ICTの過去・現在・未来」の説明を基に作成
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