大型・薄型テレビの高級モデルで急速に普及しつつある「明るさ(輝度)」を拡大する技術。高精細な4Kテレビの付加機能として搭載され、より立体感のある映像を楽しめる。スマートフォンに搭載するケースも出てきた。

 4K HDRは2016年から大型・薄型テレビを中心として急速に普及しつつある技術で、「明るさ(輝度)」を大幅に拡大して高画質を追求するものだ。

 HDRとは、スマートフォン(スマホ)のカメラにも搭載されているもので、「High Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)」の略称。ダイナミックレンジは映像の画質を決める要素の一つだ。これまでの映像では「SDR(Standard Dynamic Range)」という規格が使われてきた。しかし、この規格では4Kクオリティーの高コントラストな映像表現との乖離(かいり)が指摘されていた。4K HDRを推進するソニーは、HDRを「今まで再現できなかった明るい部分の階調を、肉眼に近い状態で表現することが可能になる」と説明している。例えば以前は表現が難しかった黒潰れや白飛びが解消され、明暗差の影に隠れていた部分がはっきりと見えるようになる。

 4KテレビでHDR映像を鑑賞するには、HDR信号に対応している必要がある。現在、各家電メーカーが高級モデルに付加価値としてHDR機能を搭載し、新たな高画質競争が激化している。コンテンツ側では、ネット映像配信の「Netflix」や「ひかりTV4K」、衛星放送の「スカパー!4K」といったサービス、次世代ブルーレイ規格の「Ultra HD Blu-ray」が4K HDRに対応する。

 2017年3月にはソニーモバイルコミュニケーションズが4K HDRディスプレイを搭載した世界初のスマホ「Xperia XZ Premium」を発表。米アマゾン・ドット・コムとの協業により、「Amazonプライム・ビデオ」でスマホ向けの4K HDRコンテンツを配信予定だという。今後、スマートデバイスの世界にも4K HDRが浸透する可能性がある。

スマートフォンにも4K HDR
スマートフォンにも4K HDR
世界初の4K HDRディスプレイを搭載したソニーモバイルコミュニケーションズのスマートフォン「Xperia XZ Premium」
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