複数の売り手と複数の買い手が集って商品やサービスをやり取りするネットワーク上の取引市場。企業間取引(B to B)から利用が広がり、企業と消費者間の取引(B to C)や消費者間取引(C to C)も盛んになっている。

 「マーケットプレイス」とは、本来は日用品を売買するために定期的に人々が集まる「市場」を指す。転じてネットワーク上で多数の売り手と買い手が集まって商品やサービスを取引する場をマーケットプレイスと呼ぶようになった。実際の市場と区別するために、「eマーケットプレイス」と呼ぶこともある。

 1999年前後にインターネット上に各種マーケットプレイスが登場した。当初からB to B、B to C、C to C各タイプのマーケットプレイスが存在したが、特にB to B市場での利用が盛んとなり、現在でもこの傾向は続いている。経済産業省の電子商取引に関する市場調査(2015年度)によると、国内のB to C市場規模は13兆8000億円(前年比7.6ポイント増)、B to B市場規模は288兆円(前年比3ポイント増)▼1まで拡大している。

▼1 インターネット取引に加えて双方向電話システムを使ったオンラインアプリケーションなども含む 広義のB to Bの電子取引市場規模

 実際の市場と異なり、インターネット上のマーケットプレイスでは地理的な制限なく売り手と買い手をマッチングできる。売り手側としてはより幅広い買い手に対してサービスや商品をアピールでき、買い手側としては希望する価格/納品数/納期といった条件により適合する売り手を探しやすくなるメリットがある。マーケットプレイスを使い問屋や仲介業者を通さないことはコスト削減に有効な半面、売り手の信用度や商品の品質に対するリスクを買い手が負担することにもなるので注意が必要だ。

 近年の傾向として、一般消費者によるマーケットプレイスを利用した国際電子商取引(越境EC)が拡大している点が挙げられる。経済産業省の調査によると、2015年度の日本の消費者による米国および中国事業者からの越境ECによる購入額は2200億円(前年比6.9ポイント増)、米国の消費者による日本および中国事業者からの越境ECによる購入額は9000億円(前年比11.1ポイント増)、中国の消費者による日本および米国事業者からの越境ECによる購入額は1.6兆円(前年比32.7ポイント増)となっている。

「空撮」や「計測」「物資輸送」など、ドローンを使ったサービスを利用したいユーザーと、ドローン事業を手掛ける企業とを結び付けるマーケットプレイス「drone market」が2016年12月5日にサービスを開始した。ニッチな商品、サービスでもネット上のマーケットプレイスで全国/全世界のユーザーを相手にできるようになり、事業として成立するものも出てきている
「空撮」や「計測」「物資輸送」など、ドローンを使ったサービスを利用したいユーザーと、ドローン事業を手掛ける企業とを結び付けるマーケットプレイス「drone market」が2016年12月5日にサービスを開始した。ニッチな商品、サービスでもネット上のマーケットプレイスで全国/全世界のユーザーを相手にできるようになり、事業として成立するものも出てきている
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