消費者行動を把握するための調査手法。インターネット上のオンラインコミュニティーにモニターを集めて実施する。短期間に調査結果を得られるため、ネットサービスの開発用途で活用され始めている。

 消費者のニーズに合った商品やサービスを企画・開発・販売するには、まずは消費者のニーズを知る必要があります。そこで多くの企業はモニターを集めて対面式のインタビューを実施し、モニターと直接やり取りして消費者のニーズを探ろうとしています。このような目的で実施する新しい調査として、最近、MROC(Marketing Research Online Community)と呼ばれる手法が注目を集めています。

特徴:対面式より本音を引き出せる

 MROCとは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のような会員制のオンラインコミュニティーにモニターを集め、商品やサービスの意見を集める調査手法です。

 例えば、企業のマーケティング担当者が現在開発中の製品に実装したい機能を調べたいとき、「どういった機能があるとうれしいですか?」というテーマで、新たな掲示板をオンラインコミュニティー内に設置します。すると掲示板には、モニターの要望が書き込まれていきます。最終的に書き込まれた全ての内容を集計・分析すれば、追加すべき機能を見極める材料になるわけです。

 掲示板に書き込まれた内容は、オンラインコミュニティーに参加する全てのモニターが閲覧できます。そのため、あるモニターの書き込みに別のモニターが共感の書き込みをしたり、逆に異なる意見を書き込んだりして、掲示板上でモニター同士の会話が交わされることがあります。

 対面式のグループインタビューでも同じようなことが起こりますが、MROCはお互いが顔を合わせていないことや、匿名で参加できることなどから、多様な本音の意見を引き出しやすいといわれています。