新しい研究開発テーマや新規事業の立ち上げを目指す大手企業が、ベンチャー企業などに広く提案を求めることができるサービス。オープンイノベーションを実現する手段の1つとして注目が集まっている。

 「新製品を開発するに当たり、これまでにない特徴を加えたい」「顧客の利便性向上を目指し、ネットを使って斬新なサービスを始めたい」。このような場面では担当者に、強い創造性の発揮が求められますが、革新的なアイデアを出すのは容易ではありません。

 そんな状況を打開する手段の1つとして、ベンチャー企業や研究機関など外部の知恵を借りて新技術や商品、サービスを開発するオープンイノベーションが注目されています。ニーズに応じて適切な外部パートナーをマッチングする支援サービスにも企業が高い関心を寄せています。

特徴:大企業とベンチャーを橋渡し

 具体的なサービスとしては、技術コンサルティング会社、ナインシグマ・ジャパン(東京・千代田)が運営し、大手製造業の研究開発上の課題解決を支援するサービス「ソリューションサーチ」があります。またCreww(クルー、東京・目黒)が提供する「crewwコラボ」ではネットやウエアラブル端末などの新分野で独自技術を持つベンチャーから、大手企業が新規事業の提案を募集します。いずれも1回の募集プログラムで数百万円ほどかかります。

 ナインシグマ・ジャパンの星野達也取締役は「2006年からソリューションサーチを始めているが、ここ2年で活用が勢いづいてきた。新製品の研究開発にスピードが求められているためだろう」と話します。

 一方のcrewwコラボは、2012年末に運営を始めて以来、50社以上の大手企業が3カ月といった期間の募集プログラムを実施しました。Crewwの伊地知天代表取締役は「累計で1050ほどの提案が集まった。このうち約140件が大手企業に採用されている」と明かします。

 これらの支援サービスは、あらかじめ運営会社がベンチャー企業や研究機関と人的ネットワークを構築しています。ソリューションサーチには世界中のエンジニアや研究者が200万人、crewwコラボには1700社以上のベンチャー企業が参画しています。運営会社はこうした独自のネットワークと、研究開発や新規事業でアイデアが欲しい大手企業の橋渡し役になり、提案を集めます。

 募集に当たり、ソリューションサーチでは「研究開発で実現したいこと」といった大手企業側のニーズをベンチャー企業に伝えます。crewwコラボでは、営業拠点数などベンチャー企業が活用できる社内リソースの情報を公開します。